日本には四季折々の景色を切り取った言葉がたくさんあります。
カメラがなくても、その言葉ひとつで景色を想像させられたのですから、言葉を紡ぐ側も言葉を受け取る側も柔軟な感性をしていたのでしょう。
私たちの日常に当たり前のように在る「月」については、幸せのレシピ集内でも、様々な視点を絡めてお話させていただいておりますが、
今回は日本を飛び出して、世界で呼ばれている満月の呼び名の一部を覗いてみませんか。
日本人の繊細な感性とはまたひと味違った豊かな感性から名付けられた満月は、刺激的だったり、キュートであったり、艶やかであったりと、ほんの少しだけあなたの五感を刺激してくれるような気が致します。
今月の満月も近づいておりますし、お時間ありましたらお付き合いくださいませ。
【1月】
1月の満月はウルフムーン(Wolfmoon・狼月)と呼ばれることがあるのですが、
これは食糧が不足する冬の時季に飢えを紛らわせるかのように遠吠えをする狼たちの姿を名付けたのだそう。この名を名付けたのはネイティブアメリカンだと言われていますので、満月の名を通して、彼らが見ていた景色、聞いていた狼の遠吠えなどを気温と共に想像することが出来るのではないでしょうか。1月は、他にも真冬を感じられるアイスムーン(Icemoon・氷月)という呼び名もあります。
【2月】
2月の満月はスノウムーン(Snowmoon・雪月)と呼ばれます。
こちらも名付け親は北アメリカのネイティブアメリカンなのですが、空気までもが凍り付きそうな寒さ厳しい2月に舞う雪と満月の景色を切り取った、幻想的な満月名です。
【3月】
3月の満月はワームムーン(Worm Moon・芋虫月)と呼ばれます。
虫嫌いの方にとってはある意味、刺激のある満月名ですが、3月と言えば雪解けの季節。春の準備を始めた大地の中では虫たちも目覚め始めます。このような季節にはミミズが移動した跡を目にする機会が増えることから、このような名が付いたようです。
【4月】
そして今月、4月の満月はと言いますと、ピンクムーン(Pink Moon・桃色月)と呼びます。
春に咲く花々を表した満月名だと言いますが、日本では桜の色ともリンクして、ひと際印象深いかもしれませんね。日本では恋愛運が上がる月とも言われていますので、ご存知だった方もいらっしゃるのではないでしょうか。お天気が不安定ではありますが、4月11日の満月はピンクムーンです。夜桜と合わせて楽しまれみてはいかがでしょうか。他にもイースターが関係しているのでしょう、エッグムーン(Egg Moon・卵月)やフィッシュムーン(Fish Moon・魚月)などとも呼ばれています。
【5月】
5月の満月はフラワームーン(Flowermoon・花月)と呼ばれます。
これは、お察しの通り本格的に様々なお花が咲き乱れる季節を切り取った満月名です。
【6月】
6月の満月は可愛らしい満月名ばかりあるのですが、皆さんはどれがお好みでしょうか。
まずは、イチゴの収穫時期だったことから名付けられたストロベリームーン(Strawberrymoon・苺月)。もちろん、満月がイチゴ色になるわけではありませんが、ストロベリームーンだと知って夜空を見上げると不思議なもので、満月がとてもジューシーな果実に見えるような気が致します。ヨーロッパでは、6月の満月をローズムーン(Rose Moon・薔薇月)と呼ぶのですが、こちらは、大人の色香漂う満月といった印象です。そして、新婚旅行でお馴染みのハネムーン/ハニームーン(Honeymoon・蜜月)も6月です。私は可愛らしいストロベリームーンも大人の色香漂うローズムーンも良いのですが、満月のこっくりとしたハチミツ色に心惹かれてしまうため、ハニームーンに1票です。
【7月】
7月の満月はヘイムーン(Hay Moon・干し草月)やバックムーン(Buck Moon・男鹿月)などと呼ばれています。
これは、干し草を収穫する時季であったり、男鹿の角が生え変わる時季であるからだと言われています。また、この時季は雷が多いこともあり、サンダームーン(Thundermoon・雷月)と呼ばれることもあるようです。
【8月】
8月の満月はスタージョンムーン(Sturgeon Moon・チョウザメ月)と呼ばれています。日本ではメジャーな魚ではないため、ピンときませんが北アメリカのネイティブアメリカンたちは、チョウザメの豊漁を祝う意味もありスタージョンムーン(Sturgeon Moon・チョウザメ月)と名付けたと言われています。
【9月】
9月は日本でも秋の味覚が出てくる時季ですが、世界でも同じようですね。
9月の満月は、ハーベストムーン(Harvestmoon・収穫月)や、フルーツムーン(Fruitmoon・果実月)と呼ばれています。
【10月】
9月と同様に10月の満月は狩猟時季ということもあり、ハンターズムーン(Huntersmoon・狩猟月)と名付けられているようです。
【11月】
11月の満月はビーバームーン(Beavermoon・ビーバー月)と名付けられているのですが、この満月名の由来には諸説あるようです。
ビーバーが巣をつくり始めるタイミングだという説と、ネイティブアメリカンがビーバーを捕獲するための罠を仕掛ける時季だという説です。9月から10月を見てみますと、様々な収穫が関係しているのですが、やはり、日本で見ることができる景色とは少し異なっていることを感じられるのではないでしょうか。
【12月】
12月の満月は、寒さが深くなり夜も長くなることから、ロングナイトムーン(Longnightmoon・長夜月)と名付けられています。
月と人の関係はとても長いため、名前以外にも満月が持っているジンクスのようなものもあるのですが、その辺りのお話は、また機会がありましたら……。
何度もお話させていただいているのですが、お月様は年々、地球から遠ざかっています。
そして、遠い未来では月に1度という頻度ではお月様を見ることができなくなるのだそう。
日々のあれやこれやに追われがちですが、ほっと一息、夜空を見上げて、深呼吸。そのような時間、いかがでしょうか。
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