そろそろ白菜も名残の時季である。
幅広いメニューに対応できる野菜ではあるけれど、鍋野菜に使う機会が多いこともあって冬野菜のイメージが強いように思う。
しかし、その栽培時期は秋から初夏辺りまでと思いのほか長く、3月から5月辺りまでに出荷されるものは春白菜と呼ばれるなどしている。
今、私たちが手に取る白菜が冬のそれと異なる品種なのかまではリサーチ不足で分からないのだけれど、例え冬のそれと同じであっても「春白菜」と名付けられていると、冬のそれとは異なる新しい気持ちで手に取ることができるから名付けとは面白いものである。
私は、白菜の中央にある柔らかくて甘味が強い部分が好きで、この部分は出来るだけ火を通さずにサラダに混ぜ込むようにしている。
それを楽しむことができるのも、あと僅かということで、最近は機会があれば迷わず手に取っている野菜である。
先日も、冷蔵庫から取り出した白菜を調理しようと洗っていたのだけれど、根元近くの肉厚部分に黒い斑点が出ていたのである。
普段よりも斑点が多いように感じたこともあって、切り取るべきか否か少し躊躇してしまった。
結局、この斑点は無害なものであることを以前確認したこともあり、出来るだけ見栄えにも影響が及ばないようなカットと調理方法で全てをありがたくいただくことにした。
私は白菜に時折出ている黒い斑点の正体を知らなかった頃は、何か良からぬものが付いているのではないかと思い念入りに洗ったことがあった。
それでも黒い斑点は取れず、白菜の内側から出ているものだと気付いて切り落としていたこともあった。
しかし、あの黒い斑点はお野菜全般に含まれているポリフェノールだと知ったのである。
人によっては、あの黒い斑点の見た目を苦手だと感じる方もいらっしゃるので、人様にお出しする際には配慮した方が良いようにも思うけれど、斑点そのものは、汚れやカビなどの人体に害を及ぼすようなものではないとのことなのだ。
それにしても、どうして黒い斑点がというところなのだけれど、あの斑点は、白菜が栽培時に何かしらのストレスを感じると現れるゴマ症と呼ばれる症状なのだそう。
はっきりとした原因は特定されていないようだけれど、私には、白菜がストレスを受ける何かがあったにも関わらず食卓に辿り着くまでに成長したという証、勲章のようなものにも思えて、黒い斑点に出会った折には敬意を表して、美味しくいただくようになった。
注意しなくてはいけないのは、購入時には無かったはずの斑点が現れはじめたときで、これは、白菜の鮮度が落ちたサインなのだとか。
同じ黒い斑点であっても、この場合は、栽培中のストレスではなく早く食べてもらえないことに対するストレスが黒い斑点となって表れているようだ。
モノ言わぬ野菜だけれど、しっかりとした意思表示をしているようでございます。
白菜も名残の時季となりました。
春白菜を手にする機会がありました折には、春白菜がストレスを感じてしまうまえに美味しく、楽しく味わってくださいませ。
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