先日、お食事会でいただいたお吸い物に浮いていたのは香り豊かな木の芽。
木の芽は、芽吹いたばかりの山椒の若葉で、
山菜らしくほろ苦さと特徴的な香りを持ち合わせています。
山椒は使う部位によって呼び方が変わるだけでなく、
旬の時季も異なることをご存知でしょうか。
今回は、今が旬でもある山椒のお話をすこし、と思っております。
山椒と言いますと、うなぎに振りかける粉山椒のイメージが強く、
好みが分かれることもありますが、
その味わいも旬や部位によって異なります。
まず、4月から5月、ちょうど今の時季は山椒の若葉である木の芽や
花山椒と呼ばれている黄色い山椒の花が旬を迎えています。
瑞々しさが感じられる爽やかな香りと、ほのかな苦み、
粉山椒とは異なる軽いピリッとしする感覚は
春から初夏にかけてのみ楽しむことができる旬の味覚です。
この短い旬を過ぎ、5月から6月にかけては山椒の青い実が旬です。
この青い実は、木の芽や花山椒よりも香りも辛みも強くなります。
とは言え、熟す前の青い実ですので香りと辛みが強いとはいえ、
まだまだ瑞々しさが感じられるかと思います。
ちりめんじゃこと一緒に煮て「ちりめん山椒」に仕上げますと、
ご飯のおともに、冷奴の薬味に、パスタやサラダなどのトッピングにと、
様々なメニューのアクセントにもなります。
ただ、こちらの実も旬が短いため、
例え見た目が熟していない青い実であってもタイミングを逃してしまうと、
小さな種が固くなり食感や食味が落ちるので召し上がる際にはお早めに。
どうしても、このフレッシュな青い実を長く楽しみたい場合は、
青い実を塩漬けにしておくと良いかと思います。
私はズボラが出てしまい2、3回ほどしか作ったことはありませんが、
10カ月から12カ月ほど保存できます。
【山椒の塩漬け・簡易レシピ】
【1】山椒の葉っぱや小枝、実から出ている軸などを丁寧に取り除き、滑らかな山椒の実にします。
【2】しっかり水洗いした後に8~10分ほど茹で、冷水に20分ほど浸してあく抜きをします。あく抜き後は水をしっかりと切ります。
【3】山椒の実の半分ほどの量のお塩をまぶして、ひと晩冷蔵庫で保存します。
【4】水分を取り除き、再度お塩を軽くまぶして空気を抜いた状態で密封できるものに入れて冷凍庫へ。
【5】使用する際には使う分を取り出して水洗いしてお料理に使います。私は、これをお醤油に漬けて山椒の香りがほのかに香る山椒醤油なども楽しんでいました。
そして、私たちがよく知る粉山椒は、
熟した実を乾燥させ割れた皮を粉にしたものなので保存がきき、通年楽しむことができます。
ですが、やはり挽きたてのものは、
乾いた香りの中にフレッシュな香りを感じることができますので、
粉山椒がお嫌いでなければ挽きたてのものを楽しんでみるのもおすすめです。
和風の味付けにした唐揚げなどに振りかけると大人のおつまみにピッタリです。
粉山椒は熟した実を使うため、旬は10月から11月頃です。
1年を通して楽しむことができる山椒ですが、
特に、この時季の香りは旬を感じられます。
また、山椒には私たちに必要な栄養素がバランスよく含まれており、
胃腸や内臓を整える働きや成人病の原因対策にも働きかけてくれます。
刺激があるため、一度に大量摂取することはおすすめできませんが、
適量は体に嬉しい効果をもたらしてくれます。
お嫌いでなければ、この時季が旬である木の芽や花山椒の香りや味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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