自宅を出る前にはフル充電されていたはずのスマートフォン。
外出して3時間も経たぬ間に2割ほどになっていた。
帰宅時までもたないという緊急事態を回避するために、
常に鞄に忍ばせてあるバッテリーと
息が絶えかけている我が相棒のスマートフォンを一本のコードで繋いだ。
私にとって、スマートフォン、PC、タブレットは、仕事柄、相棒のようなもの。
どれかひとつでもコンディションが危うくなると、
不安にも似たストレスを感じてしまうことがある。
だからだろう、どの端末からもある程度同じパフォーマンスが行えるよう、
相棒たちには少々過酷を強いている。
私の期待に応えてフル稼働してくれているのだろう。
彼らは、非常に食欲旺盛だ。
バッテリーという名の非常食を与えたにも関わらず、
またすぐにエネルギー切れを起こすことも多く、
いつの間にか自宅には外出時に購入したバッテリーが無駄に増えていた。
もちろん、無駄にならないようにと使い捨てタイプではなく、
再利用できるものを選んでいたのだけれど本末転倒感は否めない。
そのようなことを頭の片隅にチラつかせていたある日、
某番組が、4、5回分の充電ができるバッテリーを紹介していたのだ。
なんてタイムリーな話題なのだろう、とテレビを見ながらスマートフォン片手に購入を決めた。
これまでは、緊急事態を回避するために
コンビニやバラエティーショップなどで手軽なものを購入していたのだけれど、
今回は緊急事態を起こさないための購入。
求める品は同じだけれども購入時の気持ちが大きく違えば、
これまでの購入品がいかに、間に合わせのためのものだったのか
偶然にも詳しく知る機会となった。
それから2日ほどして届いたバッテリーと言う名の、相棒たちの非常食を、
緊急事態を想定してスマートフォンに絞って使ってみることにした。
これが、驚きの安定感を発揮し私の中途半端に抱き続けていたストレスは一気に開放された。
災害時の対策は施しているけれど、
このバッテリーも心強いアイテムのひとつになるに違いない。
武士の七道具と言えば、刀、太刀、弓、弓矢などが挙げられるけれど、
現代人にとっての七つ道具に、
スマートフォンやPC、タブレットといった通信機器を挙げても間違いではないだろう。
刀をスマートフォンに握り替えて情報社会という時代をゆく現代人。
そのような脳内劇場が始まりかけたときに、ふと目に飛び込んできた、
ほぼ、無駄になってしまったバッテリーの数々。
きっと、私のストレスと不安の表れだ。
バッテリーのご利用も貯蓄も計画的に。
そのような声が何処からともなく聞こえてきたような気がした。