最近購入したばかりの食器用洗剤は、ほんのりと爽やかな香りがシンクに広がる。
ライムとミントを混ぜ合わせたような香りを楽しみながら
マグカップの数に見合わないほど過剰に泡立ててしまった泡でそれらを洗っていた。
すると、テレビから「邦人」という言葉が聞こえた。
大人になってから話すのは少々恥ずかしくもあるのだけれど、
学生の頃の私は、この「邦人」という言葉を、
あまりよく調べもしないまま「邦人=日本人」だと間違って捉えていたことがある。
使う場面もそう多くはなかったし、
ニュースなどで見聞きする際も、その解釈で間違いはなく意味も通じていたこともあり、
自分の間違いに気づかずにいたのだ。
すると、ある時、友人がこのようなことを言った。
ニュースなどでは外国にいる日本人のことを日本人と呼んだり、邦人と呼んだりするけれど、
あれは紛らわしいから「日本人」で統一すればいいと思わない?と。
私と同じ解釈をしていただろう友人と、そう言われてみればそうだねと話していると、
私たちの会話を拾った当時の恩師が、それは少し違うんじゃないか言って間に入ってきたのだ。
皆さんは「邦人」という言葉をどのように認識されているでしょうか。
なかなか確認する機会もないですし、感覚だけで通じてしまう言葉でもあります。
今回のお話ワードは「邦人」。
ご興味ありました際には、この機会に柊希の脳内整理にお付き合いいただきつつ、
言葉のセルフチェックにお役立ていただけましたら幸いです。
「邦」という文字には「国」という意味も含まれているのですが、
自国と、その他の国を分ける際にも使用されるため、
「邦人=自国の人」という意味があります。
例えば、「海外で邦人が事故に遭った」というニュースを耳にした時、
日本から見ての自国の人は日本人であるため、
「海外で日本人が事故に遭った」という意味ですが、
その自国(邦)が、どこなのかということを確認する必要がでてきます。
アメリカでこのようなニュースが流れれば自国=アメリカなので邦人=アメリカ人ですし、
自国=オーストラリアであれば邦人=オーストラリア人となり、
そのような情報をもとに、ニュースを判断する必要があります。
このように丁寧に見てみると、私のように「邦=日本」と思うのは、
言葉の意味という視点では間違っていることが分かるかと思います。
ただ、既にお気づきの方もいらっしゃるかもしれないのですが、
「邦人」という言葉は日本語であり、日本ならではの使い方、言い回しなのですよね……。
そうなりますと、使われる際のほとんどが日本人を指しており、
「邦人=日本人」という認識になりやすいのかもしれない、と感じております。
また、「邦人」という言葉を使用する際、
日本にいる日本人を「邦人」と表現することは、そう多くはなく、
そのほとんどは、海外に長期間滞在している日本人を表す際に使用されています。
旅行者であれば「日本人」と表現し、
仕事などで長期間滞在している方のことは「邦人」と。
聞き慣れた短い言葉ではありますが、その中に含まれる情報はギュギュっと濃密です。
もし、「邦人」という言葉に触れる機会がありましたら、
言葉の奥に在る情報を覗いてみてはいかがでしょうか。