食育に携わっている知人からよく耳にすることがある。
多くのお野菜が一年を通して出回っていることから、
私たちは、好きな時に好きなお野菜を好きなだけ口にできるありがたい環境に居る。
ただ、その環境によって、子どもたちの多くが、
お野菜の旬を知らないことが多いのだという。
そのような話を聞きながら、それは子どもに限ったことではないような気がした。
一年を通して出回っているのだもの、わざわざ旬を知らなくても困りはしない。
それ以上に、いつでも口にできるありがたさの方へ気持ちが向いてしまうのだ。
視点を変えれば少々味気ない気もするけれど、
私の中にもそのような気持ちが見え隠れしている。
ただ、普段よりも少しだけ意識して味わってみたり、栄養価という視点でそれらを見直してみると、
旬である時期に収穫されたものは味が濃くエネルギッシュで栄養価が高いことに気付く。
そして、「旬には旬のものを」そのような言葉が消えずに在ることも頷くことができるのだ。
つい、巷で話題になっているスーパーフードに意識が集中してしまいがちだけれども、
私たちが口にする食材は全てスーパーフード。私はそのように感じている。
普段から様々なものをバランスよく食べることが良いということは、誰だって知っていること。
それならば、食卓には、旬のものを旬である時期に登場回数を増やし、
体に必要な栄養を、素材の力が最大限に発揮される旬に、
しっかりと補ってみてはいかがでしょう。
流れ作業でこなせてしまう何気ない調理時間も、目の前の食材の旬に目を向けられると、
口にする楽しみが増すのではないかと思うのです。
こちらでは、できるだけ旬を迎えたお野菜の魅力にベストタイミングで触れられたら、
と思っておりますので、素材が登場した際には意識して食卓に登場させてみてくださいませ。
さて、今回の主役は、12月から2月頃が旬とされている小松菜です。
冬のお野菜ですが、こちらも一年を通して口にできますね。
この時季のものは葉っぱに力強さが増しているように思います。
小松菜は、もともと存在していたお野菜ではなく、
江戸時代にアブラナとカブを掛け合わせて作られたお野菜です。
アクが少なく、ぐいぐい自己主張してくるような味ではないため、
青菜の青臭さが苦手だという方や野菜嫌いのお子様でも食べやすく、
グリーンスムージーに加えているという方も多いのではないでしょうか。
小松菜は一見地味な青菜に見えますが栄養成分が豊富に含まれている緑黄色野菜です。
βカロテン、ビタミンC、Eを始めとするビタミン類、
カルシウム、鉄、カリウムなどのミネラル類に食物繊維も多く含まれており、
カルシウムや鉄分に関して言えば、ほうれん草よりも豊富なので、
天然のマルチサプリメントのようなイメージかもしれません。
具体的に効果、効能、薬効として挙げられているのは、
骨や歯を丈夫に保ち、骨粗鬆症の予防として。
貧血や浮腫み、高血圧の予防や改善として。
体内の酸化予防になることから、体内、お肌のアンチエイジングに。
免疫力を上げ風邪の予防やイライラを鎮めることにもひと役買ってくれる食材です。
ちょっとした調理のコツとしては、
小松菜のβカロテンは油と組み合わせると吸収が高まりますので、
βカロテンを摂取したい場合はお肉やお魚と炒めたり、
煮浸しにする際にも一度軽く炒めてから使うと良いかと思います。
最近、野菜不足だという方、気分がスッキリしない方、
味の濃いものが続いている方、とにかく美容も健康も底上げしておきたいという方など。
まずは小松菜で、あれやこれやと不足している栄養素を手軽に補ってみてはいかがでしょう。
今日も小さなハッピーをひとつ、積み重ねてまいりましょ。