今年の春、プチヴェールという名の野菜を知った。
フランス語で「小さな」という意味のプティと「緑」を表す「ヴェール」という言葉をくっつけて「小さな緑」と名付けられている野菜だ。
初めてのものを見るととりあえず、調理方法も分からないのに好奇心に任せて手に取ってしまうのだけれど、この野菜は初めて口にしたのに初めてではない味がした。
美味しくいただきはしたものの、腑に落ちなかったのだろう。
私の手帳の雑記ページにはプチヴェールとピンク色のペンで書き残されていた。
先日、そのピンク色の文字を手帳の中に見つけたのだけれど、潔いほど記憶に残っておらず、小さな緑とは何ぞや?とネット検索をかけた。
すると、春先に口にしたあの野菜画像が画面にズラリと並んだのと同時に、春の記憶が鮮明に蘇った。
まずは、もう一度食べてみるかとスーパーに足を運んだのだけれど、そこでプチヴェールの旬が冬から春にかけてだということと、何でもいつでも簡単に手に入ると無意識に思っている自分に気付き帰宅した。
幾つかの季節を迎えなければ手に入れられことにヤキモキしつつ、プチヴェールを気休めに調べてみることにした。
初めて口にしたにも関わらず、初めてではない味がしたのは間違っていなかったようで、プチヴェールはケールと芽キャベツを掛け合わせたハイブリッドベジタブルだった。
ケールと言えば、私は青汁で口にすることがほとんどなので、ケールと聞けば苦みを持っている野菜というイメージが増すけれど、芽キャベツと掛け合わせてあるからだろうか。
軽く茹でてお浸しでいただいてみたところ、キャベツや菜の花の親戚といった印象の、ほんのりと甘く、どこか慣れ親しんでいる味がした。
ビジュアルは、芽キャベツが葉を濃く緑色に染めて広げたような、葉牡丹を芽キャベツサイズにまで小さくしたような可愛らしい見た目をしているのだけれど、栄養は、βカロテンやビタミンC、鉄分にカルシウムやカリウムを含むミネラルが桁違いの量、含まれている。
初めて手に取る食材は、その扱いに戸惑うこともあるけれど、プチヴェールはキャベツや芽キャベツ、ほうれん草などと同じように使うことができるため、ちょっと気分を変えてみたいときにも良いように思う。
次にプチヴェールを手に取った際には、天ぷらやベーコンとのソテーでと楽しみにしているのだけれど、目下の目標は、プチヴェールの存在を旬まで忘れないことである。
だからその日は、プチヴェールと記してあるすぐ横に、ハイブリットベジタブルであることとメニューを書き加えた。
プチヴェールは既に、様々なメニューやサプリメントに使用されて大活躍中のようですが、旬は11月頃から。
ご興味ありましたら、その名をもう少しだけ頭の片隅に忍ばせつつ、その時をお待ちいただければと思います。
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