もうすぐ満月がやってくる。
1月の満月はウルフムーン(狼月)と呼ばれることがあるけれど、
ここ最近の、冬が本気を出したかのような気候を思い返すと、
今年はアイスムーン(氷月)の呼び名の方がしっくりくるようにも思う。
確か先日、2018年が始まったばかりだったと思うのだけれども、
今年も相も変わらず、私が乗り込んだ2018年の列車は超特急のようだ。
自分に起きている出来事に対して様々な思いが湧き上がることがあるけれど、
最終的にどう思うか、感じるか、色付けをするか、味付けをするか、
それらの権限は全て自分自身にある。
それならば、できるだけ前向きなそれを選んでいきたいものだ。
そのようなことを思いながら古い資料に目を通していると、
「蜜月(みつげつ)」という言葉が表れた。
そして、そう例えられていたのは豊臣秀吉と千利休だった。
「蜜月(みつげつ)」を英語にするとハネムーン/ハニームーン(Honeymoon)となる。
ハネムーン/ハニームーン(Honeymoon)の「Honey」は、
ハチミツの甘さから連想できる、愛する人や甘美な様子やものごとなどを表しており、
「moon」は、お月様以外にも月日、期間を表すことがあるため、
ハネムーン/ハニームーン(Honeymoon)は、
新婚旅行や結婚後の幸せ絶頂期間のことなどを表すようになったと言われている。
ここまでであれば甘い言葉のように感じるのだけれど、
ハネムーン/ハニームーン(Honeymoon)には少々冷めた意味も含まれているのだ。
「moon」に月日や期間を表す意味があることは先述の通りなのだけれど、
月が満ち欠けする様子と新婚夫婦のお互いに対する愛情を重ね合わせ、
夫婦の愛情も次第に欠けていくものだという意味があるのだそう。
この意味を汲んでいるからなのか、日本でも「蜜月(みつげつ)」という言葉を使う際、
一時的な愛や情熱を帯びた間柄に対しても使われることがある。
だからなのだろう。
冒頭で触れた豊臣秀吉と千利休の関係だ。
親密な間柄であったはずの2人だけれども、いつの間にか互いへの気持ちがすれ違い、
豊臣秀吉は千利休に切腹を命じている。
これを、細かく説明せずに「蜜月(みつげつ)」という言葉で表していたのだ。
本来、甘い香りをまとっているはずの言葉だけに表側の意味しか知らなければ、
豊臣秀吉と千利休の間柄に関して
様々な憶測が次々と浮かびあがっては消えて、を繰り返すだろう。
ただ、私の個人的な思いだけれども、
ハネムーン/ハニームーン(Honeymoon)、蜜月(みつげつ)に含まれている
「夫婦や友との愛情や関係は次第に欠けていくものだ」という決めつけは、いかがなものかと思っている。
人は大なり小なり変わっていくもので、変わっていくことが唯一変わらぬこととも言える。
そして、欠けた月は再び満ちていくものだ。
成長していく中で、調子が良い時もあれば悪い時も平穏な日々もあり、
頑張ることが出来る日も、そうでない日もある。
最終的にどう思うか、感じるか、色付けをするか、味付けをするか、
それらは各々に委ねられているのだから、
もう少しだけポジティブエッセンスをトッピングしておいても良かったのではないかと思っているのだけれど、いかがでしょうか。
もちろん、多くを語らずして人との関係の侘・寂(わび・さび)を表せる奥ゆかしい言葉でもあるのだけれど。
もし、小説やドラマ、映画などの世界で
蜜月(みつげつ)やハネムーン/ハニームーン(Honeymoon)という言葉に触れる機会がありましたら、言葉が表している世界を覗き込んでみてくださいませ。
※6月の満月のことも、ハネムーン/ハニームーン(Honeymoon)、蜜月(みつげつ)と呼びます。
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