人生の中で、幾度かは経験するであろう、酢豚にパイナップルはアリか、ナシか問題。
少し前に足を運んだ中華料理店で、隣のテーブルから久しぶりに、そのような話題が聞こえてきて、何だかとても懐かしい気持ちになった。
私は、パイナップルが入っていても美味しくいただくことができるけれど、
入っていないからと言って残念がることはない。
自宅で調理する場合は、パイナップルを酢豚に入れるのために準備することはなく、パイナップルナシバージョンで作ることがほとんどだ。
懐かしさついでに、そのようなことを勝手に思いつつ、目の前の中華を味わっていた。
きっと、話題に参加している人の大半が、
酢豚に入っているパイナップルがアリ派であろうが、ナシ派であろうが、どちらでも構わないと本心では思っているのではないだろうか。
もちろん、否定的な意味ではなく円満な思考として。
その上で、アリだ、ナシだ、信じられない、同じタイプだ、などと言い合ってじゃれ合うための話題、
あの雰囲気をみんなで楽しむための話題、のひとつであるように思う。
パイナップルがトッピングされているハワイアンピザの例も然りだと思っていると、
隣のテーブルから、「じゃぁ、ピザのパイナップルは?と聞こえてきた。
甘酢あんを、揚げた豚肉と素揚げしたカラフルな野菜にからめる酢豚は、中華料理の中で広東料理に分類されている。
栄養学が発展した今でこそ、パイナップルに含まれる酵素には、たんぱく質を分解する力があり、
お肉を柔らかく仕上げることができる上に、
腸内での消化吸収を促進する効果があることが分かっており、
酢豚に入れることで、とてもバランスの良い一皿になるといって勧める方もいる。
しかし、酢豚にパイナップルを入れるようになった本当のきっかけは何だったのか?
実際のきっかけは、古い時代にの香港や上海のレストランで欧米人たちに酢豚を出す際、
普段よりも豪華に見せたいという料理人の思いから、
当時はまだ珍しく貴重品だったパイナップルを酢豚に入れたことが始まりなのだそう。
そして、この酢豚からインスピレーションを得てハワイアンピザが生まれたと言われている。
どういうわけか過去に、ハワイアンピザを好んで食べていた時期があった。
いや、好んで食べていたというよりは、
無意識に、世界中の人々が美味しいと感じている味覚のポイントを探していたのかもしれないし、
白米の共として、フルーツが食卓にあがることが無い日本の食文化が浸透している自分に
新しい味覚の風が送り込まれようとしていたのかもしれないし、
何だか訳が分からないまま癖になってしまっていたようにも思う。
覚えているのは「美味しい」「これが好き」と思って食べていたのではなく、「無くはない」そう思っていたことだ。
しかし、味覚のポイントを探し当てられたのか、新しい風を送り込むことができたのか、飽きてしまったのかは分からないけれど、
いつの間にか手を伸ばさなくなっていたハワイアンピザ。
今の私が口にしたら何を感じるのだろうか。当時の何かが蘇ったりするのだろうか。
機会があれば久しぶりに、
パイナップル入りの酢豚やハワイアンピザを口にしてみてもよさそうだ。
皆さんは酢豚にパイナップル、ハワイアンピザは、アリ派でしょうか、ナシ派でしょうか。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/