幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

終わりは新しい何かを連れてくる。

f:id:hiiragi1111:20180421165507j:plain

数年前の夏、我が家のガーデンテーブルの上に笑顔がキュートな鳥の置物がやってきた。

あの日は確か、ジリジリと照り付ける太陽を浴びながら目的地へ向かっていた。

途中、店先に並べられた植物が、

滴る水をキラキラと輝かせている姿があまりにも眩しくて、涼やかだったものだから、

その姿に吸い込まれるようにしてお店に入った。

そして、笑顔がキュートな鳥の置物と出会った。

その鳥の置物である彼女が見せてくれた恋物語は既にお話させていただいたのだけれど、

その彼女が、1か月ほど前に私の手元から旅立った。

春の嵐が来ていた頃で、風や雨が強い日は小まめに室内に取り込んでいた。

しかし、大丈夫だと思ったときに限って事件は起こる。

出かけようと玄関で靴を選んでいると、カランカランと甲高い、耳慣れない音が聞こえた気がした。

気のせいかしらと思ったのだけれど、虫の知らせだったのだろうか。

履いた靴を脱ぎ、音がしたような気がしたリビングへと戻った。

部屋中を見回してみても変わった様子はなく、玄関へ向かいかけたとき、

視界の端にガーデンテーブルの下に転がっている彼女の姿があった。

慌ててベランダに出ると、彼女の体が真っ二つに割れていた。

キュートな笑みを浮かべたお顔がきれいに残っていたことに若干救われた気がした。

飛び散った欠片を拾い集めてリビングで修復を試みたのだけれど、彼女の姿が元に戻ることはなかった。

ガーデンテーブルを見守ってくれていた彼女の姿が消えてからのしばらくは、

朝のティータイムを心許なく感じていたのだけれど、

その景色にも慣れ、ネットでガーデニング雑貨を眺めていたときのこと。

鳥モチーフのものを探していたわけではなかったのだけれど、

地球上でもっとも美しい鳥と称されることもある「ヘビクイワシ」という鳥を模したというガーデニング雑貨が目に留まった。

それは、手塚治虫さんの世界から飛び出してきたような顔立ちをしていた。

本物を知らなかった私は、作者の作風が存分に込められたものだと思ったのだけれども、

実際の鳥を見て決して作者の作風ではなかったことを知った。

その鳥がこちら。

f:id:hiiragi1111:20180421165308j:plain

f:id:hiiragi1111:20180421165318j:plain

f:id:hiiragi1111:20180421165352j:plain

我が家のガーデンテーブルを見守ってくれていた彼女が私の手元から旅立たなければ、

ガーデニング雑貨を見ることも、この美しい鳥の存在を知ることもなかっただろうと思う。

終わりは新しい何かを連れてくるようだ。

関連記事:

画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/