肉と魚を食べることができない友人がいる。
好き嫌いではなく、ある時からアレルギーが出るようになり、ドクターストップがかかったという。
私が出会った時には、既に、その状態が友人にとって当たり前の生活となっていた。
大勢で食事をすることがあっても、どのようなお店へ行くことになっても、
自分の身を守る術を心得ているだけでなく、
周りに気を遣わせないよう振舞う術も体得しているように映っていた。
私も身内が食事制限、食材制限をしていたことがあり、
限られた食材で、出来るだけ美味しく味わえるメニューを考えることや、
食事を楽しむことが簡単ではなくなるということを、身内を通してではあったけれど経験していたこともあり、
様々なことを考えたり、気付かされたり、教えてもらったりもしていた。
最近、その友人からベジタブル・フィッシュというもので、お寿司の雰囲気を味わえるようになるかもしれないと聞いた。
ベジタブル・フィッシュとは、日本食の海外販売を手掛けている日本企業が、
アメリカの企業と手を組んで世界に届けようとしている、お野菜で作る魚や肉のことで、
「植物肉」と呼ばれることもあるのだとか。
植物肉……、このネーミングは個人的に少々思うところがあるのだけれど、ここでは、これ以上触れずに話を進めると、例えば、トマト。
これを数種類のシンプルな調味料で丁寧に味付けをし、マグロに似た食感の食材を作るという。
味はマグロとは異なるけれど、その食感はマグロに近く仕上げられているため、
この食材を寿司ネタとして使うことで、お寿司の雰囲気を味わうことができるのだとか。
これは、AHIMI(アヒミ)という名で、海外では既に食されているのだそう。
他の野菜も、寿司ネタに見えるよう、もちろん美味しく加工し、アメリカやヨーロッパだけでなく、
寿司の本場である日本でも販売する計画があるのだとか。
完全菜食主義者(ビーガン)やベジタリアン、世界中で増えている健康志向だけれども、
食物アレルギーにより、魚や肉を思う様に楽しめない人にとっては、
口にできるメニューが増える可能性や、
大切な人や仲間と一緒にお寿司の雰囲気を味わう楽しみにも繋がる可能性への
期待が高まるニュースのひとつであるように思う。
日本には漬物寿司の文化もあるため、その辺りの技術や知識が融合し、
多くの方が楽しむことができる商品として私たちが手に取る日も近いのかもしれない。
中学生の頃まではお寿司が大好きだったという友人は、
ドクターストップがかかってから魚を口にしない生活を送っている。
何時だったか、2人で食事をしたとき、
魚を食べたときの食感の記憶も、そろそろ薄れてしまいそうだと笑った友人の顔は、今でも覚えている。
まずは、魚の食感だけでも、安全に楽しめるといいなと思ったニュースだ。
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