幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

“魔女の一撃”は使える?使えない?

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知人から、ぎっくり腰を患ったと連絡がきた。

違和感を抱いたままの無理な体勢で、非常に重いダンボールを持ちあげるや否や、

腰に、今まで感じたことがないような激痛が走り動けなくなってしまったのだそう。

知人は、その時のことを、急にやってくる激痛とは聞いていたけれど、

本当に一瞬にして腰から砕け落ち、まるで腰に雷が落ちたような感じだったと言った。

私にとっては、全てが想像でしかないため、

その時の痛みを十分に分かち合って差し上げることはできなかったけれど、

思っていたよりも早く完治しそうだと聞いて、ひと安心した。

私たちが“ぎっくり腰”と呼んでいる症状は、海外にもある。

病院で診察を受けると、正式な病名として“腰の捻挫”や“椎間板ヘルニア”などと表現される。

イギリスに住んでいた時、お世話になっているご年配のご夫婦がいたのだけれど、

そこの御主人がぎっくり腰になり、しばらく車イスを使っていたことがあった。

奥様曰く、ご自慢のお庭、日本で言うところのイングリッシュガーデンのお手入れ中に、

グキッとやってしまったのだそう。

奥様が、「無理をしないで、今日はこの辺にしておいたら?」と呼びかけた直後の出来事だったらしく、

「私の言うことを聞かないから、こんなことになるのよ」と言われていた。

あぁ……、しばらく頭が上がらないのかしらと思っていると、ご主人が私に言った。

「これはね、witch’s shot(魔女の一撃)なんだよ。魔女の仕業」だと。

それを聞いていた奥様、今度は「それは一般的な病名ではないのだから、柊希に教えちゃダメでしょと。」とご主人に言った。

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この時のことが気になった私は、奥様のご機嫌が収まった頃を見計らって、改めて話をきいてみた。

すると、もともとは、ドイツ語で“ぎっくり腰”のことを“魔女の一撃”と言っていたのだそう。

これを英語に直訳したものが“witch’s shot(魔女の一撃)”なのだけれど、

イギリスで“ぎっくり腰”を、このように呼ぶ人は少なく、

知らない人の方が多いため、使ったとしても通じないことの方が多いだろうという話だった。

確かに、私が出会ったイギリス人のほとんどが、

“魔女の一撃”の正体を知らないと言っていたことから察するに、“魔女の一撃”は知る人ぞ知る“ぎっくり腰”の別名のようだ。

しかし……、不思議なことに日本人でこのことを知っている人は意外と多く、

“ぎっくり腰”は英語で魔女の一撃と言うのだと常識のように出回っていたりするのだ。

日本人が知らない日本のことを、外国の方が詳細に知っていることがあるけれど、

これはその類のようなことかもしれない。

確かに“魔女の一撃”という表現はあるけれど、

誰にでも通じる表現ではないことを頭の片隅に忍ばせつつ、

“魔女の一撃(=ぎっくり腰)”には、ご注意くださいませ。

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