照明が落とされた建物の中から外へ出ると、
近くの建物に反射した太陽の光に照らされ、思わず目を閉じた。
瞼の裏側に残る光の粒の残像が、夏が近いことを知らせているようだった。
気を取り直し、歩きだそうとしたときだ。
建物から出てきた何人かの人が、空を仰ぎクシュンッとクシャミをして私の横を通り過ぎていった。
太陽の光を見たときにクシャミがでてしまう人がいるけれど、それだと思った。
いつぞやかの医療従事者を交えた会食のとき、
ある方が、太陽の光を見るとクシャミが出るのだけれど、これは何なのだろうかという疑問を投げかけた。
今回は、この、太陽の光とクシャミのお話をと思っております。
ご興味ありましたら、チラリ覘いていってくださいませ。
まずは、簡単にクシャミの仕組みのおさらいを。
鼻の中の粘膜は、外部から侵入してきた異物による刺激を察知すると、
脳にある感覚神経からクシャミ中枢へ「クシャミせよ!」という指令が出るようになっている。
と同時に、鼻水を分泌させるヒスタミンという物質を出し、このヒスタミンを使って、鼻水を分泌させている。
そして、鼻水と鼻息を使って、鼻の中に侵入してきた異物を体の外へ吹き飛ばす仕組みが、
私たちがクシャミと呼んでいる生理現象だ。
太陽の光や暗い場所から急に明るい場所へ行ったときに受けた光を、繊細に感じ取り、
普段よりも眩しいと感じ、クシャミをする方がいる。
この現象は、正式名称ではないのだけれど、
別名『光くしゃみ反射』と呼ばれる、正常な反射のひとつなのだそう。
しかし、この現象は、全ての人に起きるものではなく、起きる人、起きない人、
いつもではなく時々起きるという人など人それぞれだ。
この現象が起きる原因は、遺伝によるものが大きいのではないか、という見方があるという。
他にも、可能性の一つという範疇ではあるそうなのだけれども、
光の刺激を受けた際に、クシャミなどの反射行動を行わせる部分が、
視覚神経と鼻水を分泌させる神経のどちらにも影響を与えることで、
光くしゃみ反射が起きるのではないだろうかという見方もあるのだとか。
このような話をしていると、話題を振った方が言った。
うちの家族は皆、太陽の光を見ると1回はクシャミをします、と。
そして、車の運転中は、クシャミが思わぬ事故に繋がるようなことが無いよう、必ずサングラスをかけていると。
その方は、ご友人たちから「ちょっと眩しいくらいでサングラスだなんて格好つけすぎだ、大げさだ」と突っ込まれることもあるそうなのだけれども、
これからも堂々とサングラスをかけますと、その場で宣言していた。
まだ完全に解明されたわけではない「太陽の光を見るとクシャミが出る現象」だけれども、
繊細な神経の持ち主ということのようだ。
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