うたた寝が好きだ。
特に、春と夏の狭間を流れる風が心地良い、この時季のうたた寝は最高。
その日は、窓から入ってくる爽やかな風を感じながら届いたばかりの資料に目を通していた。
気分だけは、大きな木の下で気ままに楽しむ読書風だ。
明け方までPCに向かっていたせいか、気付けば30分ほど寝てしまっていた。
この時季のうたた寝は私にとって最高、であるはずだったのに、
この日のうたた寝は失敗してしまったようで、目覚めと同時にチリチリとした痛みを喉奥に感じた。
うたた寝や居眠りをして体調を崩してしまう人は多い。
誰もが通る道のひとつだと思うのだけれども、
子どもの頃に親から「眠るならベッドへ、布団へ」と言われた人もいるのではないだろうか。
身体がリラックスできる心地良い時間だというのに、
どうして、うたた寝や居眠りは体調を崩してしまうのか。
この原因にはいくつかの見解があるようだ。
もちろん、ブランケットなどを掛けずに寝てしまい、体が冷えたことが原因となることもあるのだけれど、
これとは別に、身体がリラックスして休息モードに入っているときに働く、副交感神経が優位な状態のときに、体調を崩しやすくなることがあるのだとか。
これは、忙しいくしているときは気力で乗り切ることができることもあるけれど、
その物事が一段落し、休みに入ったと同時に体調を崩してしまうときの状態と同じなのだそう。
忙しいときに頑張っているのは自分だけではなく体も、細胞も共に闘っており、
一斉に休息モードに入ったところをウイルスに狙われる、というものだ。
他には、睡眠時は唾液が喉を通る回数が減るため喉が普段よりも乾燥しやすく、
乾燥した喉は、ウイルスが繁殖する絶好の環境となるため、
うたた寝や居眠りの後は、風邪のひき始めでの症状である喉の痛みが出る、という見方もあるという。
だから、季節を問わず、就寝時やお昼寝どき、うたた寝や居眠りの時には、
身体を冷やさず、ある程度の湿度を保った環境を整えておく必要があると言われている。
しかし、だ。
ここから先は柊希の勝手な脳内劇場内でのことなのだけれど、
就寝時や意識した上でお昼寝をするときは別として、
うたた寝や居眠りの気持ち良さと醍醐味は、何といっても、あの無防備感だと思うのだ。
眠りに落ちるか否か、その、どちらに転ぶか分からない状況に身を委ねることを捨て、
いつ何時眠りに落ちてしまっても良いように予め用意を整えておくなんて、
あー、なんてナンセンスなのだろう。
日常の中に、これくらいの冒険があっても良いではないか。と、あくまでも私の個人的な好みの問題なのだけれど、思ってしまう。
うたた寝後に感じる、程よいチリチリとした喉の痛みは、ちょっとした勲章だ。
そのようなくだらないことを思いながら、
自分の喉を救うためにキッチンではちみつ大根作りに勤しんだ昼下がりとなった。
それにしても、副交感神経が優位なところをウイルスに狙われるのだとしたら、
就寝時に心身が安心して休めるよう、身を置く環境をしっかりと整えることは、
思っている以上に大切なことなのかもしれない。
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