結婚式場内に作られている洋風庭園沿いを通りかかると、
その庭でフラワーシャワーが行われているところだった。
塀の隙間を縫うようにして垣間見えた光景は、キラキラしているように見えた。
時々、結婚披露宴にて新郎新婦へ贈る、お祝いスピーチ文の相談を受けることがある。
文章を代わりに練るというような相談ではなく、
幅広い年齢層の方々が集う披露宴の場でのスピーチなので、
知らぬ間に失礼なことを言っていないか、言い回しや使う言葉を一緒に確認して欲しいと言うものだ。
常識と呼ばれるものも、時代と共に変化する。
どの世代にも失礼がないようにしたいという心配りは、表立って目立つことはないけれど、
とても温かいものだと相談を受ける度に感じるのだ。
今年の春先に知人から、6月に出席する披露宴でスピーチをすることになったため、
スピーチ文の確認をお願いしたいと連絡があえい、メールが数往復した後、それは完成した。
披露宴の日までは、十分すぎるくらい余裕があったため、
スピーチ文は、その日まで眠らせておくことになったのだけれども、ある種の虫の知らせだったのだと思う。
ふと気になり、私はもう一度、その文章を見返したの。
すると、2人とも内容に集中しすぎていたのか、うっかり文字を選び間違っていることに気が付き、慌てて連絡を入れる、ということがあった。
末長い新郎新婦の幸せは、祈ってはいけないのだ。
祈るのであれば、末永い新郎新婦の幸せを祈らねば。
「末永い」と「末長い」の違いなのだけれど、「永い」は、時間に限りがなく続くときに使い、
「長い」は、時間に限りがあるとき、終わりはあるけれど、長い時間となるようなシチュエーションのときに使うのだ。
事実を表すとき、そこに祈りを込めるとき、とシチュエーションは様々だけれども、
時間を表現する際に使う「長い」と「永い」にはハッキリとした違いがあり、このような使い分けが必要となる。
だから、お祝いの場では、2人の幸せが、時間に限りなく続いて欲しいという気持ちが込められているので「末永く」が正しい表現となる。
「末長く」を使ってしまうと、終わりはあるだろうけれどといった前置きが含まれてしまうのだ。
言葉として発するだけなら、ともに「すえながく」と読むため問題はないのだけれど、
お手紙として渡す際や、電報を依頼するときには、念には念を。
昨今の私たちは、文字変換に慣れすぎてしまっているため、
頭では分かっていても、うっかり変換ミスをしてしまうこともあるため、注意が必要な漢字である。
今回は結婚式のスピーチに使用する文章に登場した「永い」だけれども、
様々なシチュエーションで「永い」と「長い」のチョイスに迷った際には、
「永い」は、時間に限りがなく続いていくときに使い、
「長い」は、時間に限りがあるとき、終わりはあるけれど、長い時間となるようなシチュエーションのときに使う。という軸に当てはめてチェックしてみてはいかがでしょうか。
ワタクシ、うっかりが多いのですが、
ここぞという時には、ビシッとキメていきたいものでございます。
今すぐではなくても、いつか必要になったときにお役に立てましたら幸いです。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/