幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

「花笑む」デビューのチャンス到来。

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必要に迫られて万葉集に目を通していたのだけれど、お目当てのものに辿り着くことができずにいたところ、百合の花を詠んだ歌に目がとまった。

万葉集には、様々な花が登場するけれど百合の花は登場回数が多い花のひとつだ。

今のようにフラワーショップがあったわけではない当時の歌に度々詠まれているということは、百合の花は、野山に入れば簡単に見つけることができる、自生率が高い、メジャーな花だったのだろう。

そして、百合の花の気品ある姿と香りに魅了される人が多かったからこそ、百合の姿は様々な形で残されているように思う。

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花笑む(はなえむ)、花笑み(はなえみ)という大和言葉がある。

意味は、花が咲く、花の蕾が開く、果実が割れる、実る、花が咲いたときのような華やかな笑顔、など多々あるのだけれど、花が咲くという意味で使われた花笑む(はなえむ)、花笑み(はなえみ)には、「百合の花が咲く姿」という限定した意味で使われることがある。

美しい花であれば百合以外にもあったでしょうにと思ったりもするけれど、先人たちは、細い茎の先に艶やかな花を咲かせる百合の姿に、美しい女性の立ち姿や立ち居振る舞いを重ね合わせていたのだとか。

そして、野山に咲く百合の花が風に揺られているからは、その美しい女性が微笑んでいる様子を想像したそうで、「花笑む、花笑み」には、「百合の花が咲く姿」という限定した意味で使われることがあると言われている。

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とはいうものの、花笑む(はなえむ)、花笑み(はなえみ)という言葉を使う機会は、ほとんどない。

私自身、何処かで使えないだろうかと使いどころを意識して探していたこともあったけれど、しっくりとくるシチュエーションに出会えず仕舞いである。

しかし、以前出席した結婚披露宴で、この言葉を耳にする機会があった。

新郎側の出席者の方が「花笑む新婦~」というフレーズを挨拶の中で口にしたのである。

カサブランカなどの百合の花は人生の節目に使われる花ですし、晴れ姿の新婦を表現するのにもぴったりな上、花が咲いたときのような華やかな笑顔に包まれている場で使うなんて、素敵な使い方だなと感心した。

その後、この大和言葉の使いどころを調べてみたところ、結婚式に限らず、入学式や入社式、成人式、春の訪れを祝う挨拶他、様々なお祝いの折によく選ばれ、使われている言葉なのだと知った。

私は未だ使う機会がないのだけれど、春先にお招きいただいているお祝いの席にて使ってみようかと思案中だ。

初めて使う言葉は、自分に馴染んでいないこともあり、少々擽ったいような気もするのだけれど、「花笑む」デビューのチャンス到来である。

春はお祝い事が多い時季でもありますので、使う機会がありました折には大和言葉で花を添えてみてはいかがでしょうか。

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