水筒を斜め掛けにした少年たちが、「かかと落とし」と連呼しながら私の横を走り過ぎていった。
空手にある、片足を頭上に上げ、瞬時に相手の頭上、もしくは肩にかかとを打ちつけるようにして振り下ろす蹴り技だろう。
走り飛び上がり、そのような型を真似しながら楽しそうな声を上げていた。
肩から斜め掛けしている、子どもの体に対して少し大きめの水筒が、この猛暑を象徴しているように映った。
ここ数日、骨に関する話を見聞きする機会が多かったのだけれど、
必ずと言っていいほど、「かかと落とし」の名がセットになっていた。
ここ数年のことなのだと思うけれど、骨がターンオーバーするときに分泌される骨ホルモン(※オステオカルシンと言います)が注目されている。
そして、この骨ホルモンを分泌させるために効果的だと言われている動作が「かかと落とし」なのだ。
かかと落としと言っても、少年たちが連呼していた、空手のそれとは異なるのだけれど、
この「かかと落とし」によって骨のターンオーバーが促され、
その時に分泌される骨ホルモンが、私たちの健康や美容に嬉しい効果をもたらしてくれるそうなのだ。
ある程度、この話題も定着しつつあるようなので、
今回は、ワタクシの脳内整理も兼ねて、骨のターンオーバーを意識することで得られる嬉しい効果のお話を少し、と思っております。
ご興味ありましたら、冷たいお飲み物で涼をとりつつ、のんびりとお付き合い下さいませ。
【骨のターンオーバー】
骨を丈夫にすることの必要性は多くの方が認識しているかと思いますが、
骨もお肌と同じようにターンオーバーがあります。
その周期は約5年で、5年の歳月をかけて身体中の骨が全て新しく生まれ変わるのだそう。
骨がターンオーバーする際、
古い骨の表面には破骨細胞というものが貼りつき、骨の成分を溶かして血液中に送り出します。
そして、溶けた部分の骨表面には骨芽細胞というものが貼りつき、溶けて無くなった分だけ新しい骨を作ります。
溶けた骨の表面に骨芽細胞が貼りつく時に、
私たちの健康や美容に嬉しい効果をもたらしてくれる骨ホルモン(※オステオカルシン)が分泌されます。
この分泌された骨ホルモンの多くは、カルシウムと一緒に骨を作る成分として骨の中に取り込まれるのですが、
たっぷりと分泌されていれば、血液の中にも混ざり、美容と健康のためにも働いてくれる、頼もしいホルモンなのです。
【具体的な効果・効能は?】
この骨ホルモンが血液の中に混ざり体中を巡るのですが、
心臓や肝臓といった様々な臓器の働きを活性化し、
血糖値を抑えるインスリンを分泌すると言います。
更に、新陳代謝を上げて、体の錆びと言われている活性酸素の量を減らしてくれるため、
細胞そのものを健やかに保ち、シワやたるみなどの肌コンディションも底上げしてくれるのだそう。
血液に乗って体中を巡ることから、非常に広範囲に渡り働いてくれるということで
美容と健康の土台作りにひと役買ってくれる骨ホルモンとして注目されているのです。
【どうすれば、骨ホルモン(※オステオカルシン)を増やすことができる?】
この、私たちの美容と健康を底上げしてくれる骨ホルモンは、骨が作られるときに分泌されるため、
骨を丈夫に、健やかにすることを意識することで増やすことができます。
それには、カルシウムを摂取したり、
丈夫な骨を作るカルシウムの吸収を高めてくれるビタミンDを、食事や日光浴などから摂取することが大切です。
しかし、これだけでは不十分で、
骨ホルモンを分泌させるためには、骨に適度な刺激を与えることも必要なのだそう。
骨は、負荷がかかると、それに耐えようとして新しい骨を作る骨芽細胞の動きが増すため、
日々の生活で与える負荷だけではなく、
軽い運動による適度な刺激によって、効率よく骨ホルモンを分泌させます。
そこで登場するのが、冒頭で触れた「かかと落とし」です。
『背筋を伸ばして真っすぐ立ち、
背伸びをするようなイメージで両足のかかとを、ぎゅーっと上へ向かって引き上げます。
その後、全身の力を抜くようにして、かかとを床にストンと落とします。』
とても簡単で拍子抜けすると思うのですが、
この、かかとをストンと落とした時にかかる負荷は体重の2倍ほどなのだとか。
1日の目安は30回ほどと言われていますので、
スキマ時間や、ながら時間に「かかと落とし」でカラダメンテナンス、いかがでしょうか。
負荷が軽くなりますが、椅子に座った状態でも骨ホルモンは分泌させられるため、
始めるハードルもそれほど高くはないように思います。
この骨ホルモンは、貯めておくことができないのだそう。
私たちの骨は、毎日少しずつ生まれ変わっていて、
今日生まれ変わった部分が次に生まれ変わるのは5年後です。
同じく、その部分に骨ホルモンが分泌されるのも5年後です。
まずは、思い出した時に「かかと落とし」で骨ホルモンを分泌させて、ちょっぴりカラダにいいこと、してみませんか。
何かしらのヒントにしていただけましたら幸いです。
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