食材が煮込まれていくときに出るグツグツという音をBGMに、
キッチンに持ち込んだ資料に目を通す時間が好きだ。
きっと、少しずつ在り方を変えていく音や香りに五感が程よく反応するからだろうと思う。
いくらエアコンが効いている場所だとは言え、少し前までは、煮込み料理を作ろうという気さえ起きなかったのだから、
思わぬところでも季節の変化は感じられるようである。
この日は普段よりも時間があったため、キッチンストッカーからホールトマトを取り出し、煮込むことにした。
時短を意識しているときは、同じトマトでもピューレタイプを手に取ることが多いため、
私にとってホールトマトは、リラックス気分を後押ししてくれるような食材でもある。
そのようなことを言うと、ホールタイプもピューレタイプも同じでしょと言われることがあるのだけれど、
加工トマトの代表とも言えるホール、ピューレ、カットには、使いどころがあるという。
もちろん、どのタイプの加工品を使っても、手間暇をかけさえすれば、
自分が求める仕上がりにもっていくことができるため、私自身はあまり拘ってはいなかったのだけれど、
あるとき、お母様が料理教室の講師をしているという友人に、その違いを教えてもらったことがきっかけとなり、使い分けるようになった。
実際に使い分けをしてみると、不要な手間暇を省くとかできただけでなく、食材の美味しさを無駄にせずに済むことを実感できたため、
今回は、そのようなお話を少しと思っております。
トマトの加工品を使うことがある方、トマトの加工品を使ってみるのだけれど今一つ味が決まらない気がするという方は、この辺りでご自分が使っている加工品の特徴や特性をおさらいしておきませんか。
本日は、柊希の脳内整理も兼ねております。
ご興味ありましたら、お付き合いいただけましたら幸いです。
まず、トマトの形が残っているホールトマトですが、
ホールトマトは酸味が強いと感じられたことはありませんか?
それもそのはず、ホールトマトは軽く水煮された状態のものですが、
酸味を出すと言われている種ごと使われている加工品です。
果肉と種を両方使って長時間煮込むことで、果肉の甘味と種の酸味が合わさって、バランスの良い旨味がでると言います。
ですから、ホールトマトは煮込み料理や酸味も欲しいという場合に適しています。
一方のトマトピューレは、このホールトマトを煮込んだ状態のものなので、
甘味と酸味がある程度合わさった状態です。
例えば、煮込み料理を作りたいけれど、いつものように煮込みに時間をかけていられない。
というような場合には、ホールトマトではなくトマトピューレを使うことで、
煮込み時間を短縮しても旨味ある煮込みに仕上げることができます。
あとは、少しだけトマトの旨味を加えたいときなどにも少量ずつ使うことができるので便利です。
使用しているトマトの味によってホールトマトやピューレの味が異なるので、
自分好みのお味を探してみるのも良いかと思います。
そして、最後にカットトマト。
水煮トマトが、はじめから角切りにカットしてあるタイプなので使い勝手が良く、
ホールトマトと比べると酸味も少ないので、トマトの酸味が苦手だという方は、カットタイプを選ぶと良いかもしれません。
カットタイプがホールトマトよりも酸味が少ない理由は、甘味がある果肉部分のみだからです。
酸味が強い種が無い分、長時間煮込まなくてもトマトの甘酸っぱさを味わうことができるので、
一般的には、スープ(温・冷ともに)やソース、果肉の食感を残したいメニューに使いやすいと言われています。
作りたいメニューで選ぶも、調理時間で選ぶも、自分好みのお味に近いものを選ぶもよし。
選び方は自由ですが、その時々の自分やご家族に合ったものを選ぶ際のヒントにしていただけましたら幸いです。
また、トマトには、体を錆びさせない効果があるリコピンが豊富ですが、
リコピンは加熱することで体への吸収率が高まりますので、
お嫌いでなければ、フレッシュなトマトだけでなく、ひと手間加えたトマトも召し上がってみてはいかがでしょうか。
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