幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

柿の木が繋ぐもの。

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移動中に青い柿の実を見つけた。

青々としていたけれど、既に一般的な柿の実サイズにまで成長しており、あとはオレンジ色に熟すのを待つのみといった様子だった。

私の目は、その一個の柿の実をきっかけに木に生る実を次々に捉えはじめ、その木が既に柿の実でいっぱいだということがわかった。

きっと、幾つかの実は間引かれるのかもしれないけれど、コンクリートや騒音で覆われているような場所でも、こうして実をつける柿の木に感心してしまった。

オレンジ色に熟した柿の実を口に入れたときのことを想像してしまったものだから、無性に柿を食べたくなってしまったけれど、旬はもう少し先。

何だか今年は、例年以上に柿を欲する秋になりそうな予感である。

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柿と言えば、被爆柿と名付けられた柿の木がある。

その存在を知ったのは4、5年前だったと思うのだけれど、その名からも推測できるとおり被爆柿は長崎に落とされた原爆によって黒く焦げながらも生き残った柿の木だ。

当時、もう枯れてしまっているだろう、もう駄目だろうと誰もが思う状態だった柿の木から芽が出たことをきっかけに、ある樹木医が治療し始めたのだとか。

原爆から生き残ったこの柿の木は、樹木医の治療やお世話の甲斐あって実が生るまでに回復したそうで、その実から種を取り、苗木を取ることができる状態にまで回復させたという。

更に、この苗木は被爆柿2世と名付けられ、平和を願うプロジェクトのシンボルとして国内外の多くの場所に贈られ貰われていき、今では被爆柿3世を育てようとしている方々も多いという。

そして、聞くところによると被爆柿の母木は、樹齢が300年に届きそうなほどの昔からある木で、被爆当時の傷をつけたまま、今も大地に根を張り生きているという。

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私は被爆柿の母木も、被爆柿2世も実際に目にしたことはないのだけれど、いや、気が付いていないだけで思いのほか近くにあるのかもしれないけれど、

そのような木があることや尽力された樹木医の方々や、それを受け継いでいる大勢の方々がいらっしゃることを知ってからは、柿の木を目にしたり柿を口にするときなどに、時折この話題を思い出すことがある。

特別なことなど何一つできないけれど、想像し難しいほどの出来事が確かにあったことを忘れないことや、当時の先人たちを偲ぶこと、今をワクワク楽しむことや平和を思い願うことであれば、出来るように思う。

それが何に繋がるのか、意味があるのかまでは分からないけれど、今を楽しまなくちゃ勿体ないと。

そのようなことをチラリと思い出しては、またすぐに現実のあれやこれやに意識が向いてしまうのだけれど。

今年の柿の出来栄えを心待ちにしながら過ごす晩夏である。

柿の木を目にする機会や柿を召し上がる機会がありました折には、今回の何かしらを思い出していただけましたら幸いです。

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