至る所で目にする恵方巻の広告。
日本各地に再び広まった風習のひとつだけれども、その一方で廃棄処分される恵方巻の数が問題視され始めている。
大切に受け継がれてきた風習に様々な思惑が加わると、加わり方によっては、このような事態に陥るのかと、廃棄処分されている画像を前に複雑な思いがした。
土用の丑の日と言えば夏のイメージが強いけれど、そもそも土用とは、立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間のことで、年に4回あるため、この時季の土用期間は冬の土用と呼ばれている。
今年は、先日(17日)から冬の土用入りしており、これは2月3日の節分の日まで続く。
この期間中に丑の日が1回、年によっては2回巡ってくることがあり、2回巡ってくる期間は一の丑、二の丑と呼び分けられている。
今年の、冬の土用丑は、1月28日なのでもう少し時間があるので、冬が旬である「鰻」を楽しみにしている方もいらっしゃるかとは思うのだけれども、
女性の皆さんはこの日、口紅を新調したり、普段よりもしっかりと口紅をさしてみるのもよいのではないだろうか。
実は、冬の土用期間には他の季節の土用期間とは少々異なる風習があるのだけれど、それが、冬の土用の丑の日には、口紅を新調する、口紅をさす、というものだ。
先人たちにとっての口紅というものは、今のようにカラーバリエーションが豊富なものではなく、口紅と言えば「赤いもの」だった。
そして、自然界から色が消える冬は、口紅の赤色が持つ華やかさや鮮やかさは別格である上に、
赤という色が持っている邪気や災いを祓い除ける力を縁起物として大切にしていたのだ。
このようなことから、冬の土用丑の日には、旬を迎える鰻を口にする以外にも、
邪気や災いを祓い除ける縁起色である赤いものを用意したり、新調すると良いと言われており、
その中でも口紅は少し特別なもののひとつとして挙げられている。
土用の丑の日が近づけば、鰻の広告を目にする機会が増え、鰻以外は意味がないように感じてしまうことがあるのだけれど、
本来、土用の丑の日に口にすると良いと言われているものは、「う」が付くものと「黒いもの」。
これを知っていると、土用の丑の日を何か一つに縛られてしまうのではなく、広く自由に楽しむことができるように思う。
縁起の担ぎ方も、年中行事の楽しみ方、触れ方もひとつではありません。
その時々の自分に合ったスタイルや視点で触れてみてはいかがでしょうか。
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