王が居るところには良い食材が集まってくるのよね、と思いながら、軽く茹でたモロヘイヤをザクザクと心地よい音を響かせながら刻んだ。
モロヘイヤとはアラビア語だときく。
意味は「王家だけのもの」だそうで、時代が異なれば、高貴な方しか口にできなかったであろう高い栄養価を持った、美容と健康を底上げしてくれる頼もしい食材である。
古代エジプトの伝説の中には、病を患っていた王様がモロヘイヤスープを食べたところ病が完治したというものや、幸せのレシピ集ではお馴染みのクレオパトラが美容と健康維持のために好んで食べていた野菜だといった話があるという。
私は、モロヘイヤに対して特段、苦手意識があったわけではなかったのだけれど、わざわざ手に取るほどでもないような気がしており、数年前までは、年に一度手に取るかどうかというレベルの関わりだったように思う。
そのような中、知人のアレルギー発症がきっかけとなってモロヘイヤのことを知る機会があり、手に取る機会が増えた野菜である。
モロヘイヤには、私たちの細胞を錆びさせないために働いてくれたり、免疫力を上げたり、健やかな血管作りに必要となる、抗酸化作用を持つビタミンA、C、Eが全て含まれており、その量も野菜界の中でも上位に位置しているのだそう。
特に夏の紫外線は、私たちの肌に強いダメージを与えることで知られているけれど、このダメージから私たちの肌を細胞レベルから守ってくれるのも抗酸化作用を持つ、これらの栄養素だ。
そして、美容と健康の双方を底上げするには、スムースな代謝もポイントとなる。
このときに必要となる栄養素がビタミンB1、B2なのだけれど、こちらもしっかりと含まれている。
ビタミンB1、B2は疲労回復にも使われるため、夏の疲労回復にもひと役買ってくれるので一石二鳥である。
他にも、女性は小まめに摂取しておきたいカルシウム、浮腫み予防や緩和に働くカリウム、腸内環境を整えてくれる食物繊維まで入っている。
緑黄色野菜でお馴染みのカロテンなんて、あのニンジンを軽々と超えてしまうほどの量を含んでいると言われているため、ニンジンが苦手だという方は、モロヘイヤにトライしてみるのも手である。
モロヘイヤは、そのまま口にするとあくがあって食べ難いけれど、
さっと茹でたものを刻んで、粘り気を持つ食材と混ぜ合わせたり、フレッシュなものは炒め物に使って熱を加えるなどすることでグンと食べやすくなるため、使い勝手は悪くないように思う。
ただ、少し残念なのは日持ちしないデリケート野菜だという点だろうか。
しかし、栄養価を思えば日持ちしないことなど何のその。
モロヘイヤは「食べるぞ」と意気込んで買い、1日か2日で美味しく完食するに限る野菜なのだ。
モロヘイヤの旬は夏。
今が一番美味しい時季でございます。
この夏は、様々なダメージから身を守ったり、ダメージを和らげる食材として、食卓にモロヘイヤをいかがでしょうか。
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