暦上は着々と秋へ向かっているのだけれど、まだまだ残暑厳しい夏の頃である。
今朝も寝室のクーラーを止めてリビングへ移動するなり、リビングのエアコンのスイッチを押し、出出しの生温い風から外気温の高さを想像し、思わず眉間にシワを寄せてしまった。
しかし、私の体感温度を他所に、自然界は着々と秋へ向かっているようで、先日立ち寄ったスーパーの陳列棚に並べられた夏のフルーツは、少しずつ姿を消しつつあるように見えた。
ザッと見渡すと、そろそろ終わりを迎える桃の姿が目に留まった。
この夏の終わりに滑り込むようにして登場する桃を目にすると、口にしたくなる一杯がある。
半分にカットした桃と牛乳、レモン果汁をミキサーでジュースにしたものに、残りの半分の桃を適当な大きさにざく切りにしたものを投入し、これを太いストローでちゅるるるんっと吸い上げるのだ。
太いストローと言えば、タピオカドリンクももちろん美味しいのだけれど、この、ざく切りにした桃を吸い上げる幸せも、なかなか乙である。
シーズンに入ったばかりの桃はフレッシュなままでいただきたい気持ちが勝るけれど、桃を十分に味わいつくしたからなのか、それとも本能では秋を感じ取っているからなのか、この時季になると徐々に、ミルクのまったり感が口に馴染んでくるように思う。
その日は、桃を手に取ることはせず、その美味しい桃のジュースを想像の世界に留めてスーパーをあとにしたのだけれど、
帰り道、ふわりと膨らんだすすきを目にしたり、街路樹として植えられているイチョウの木を見上げれば青い銀杏の実を見つけたり、更にその先にある青い空へ視線を伸ばせば、心なしか空が高くなっているような気も。
こうして辺りを見渡せば、至る所に秋の訪れがあり「残暑厳しい日々だとは思いますけれど、着々と秋へ向かっていますよ」という自然からのメッセージが散りばめられていることに気が付いたりもする。
そう言えば、一瞬ではあるけれど、時折吹く風が妙に涼しげだったりもして、やはり着々と、ということかと思った矢先、耳に届いたのは蝉の大合唱である。
秋に思いを馳せつつあった意識を夏に引き戻され、「まだ私たちの季節は終わってはいない」と蝉に言われたような状況に苦笑いである。
季節の変わり目は、自分が思う以上に身体に負担がかかっていることも。
夏や小さな秋を感じながら、だらけてみたり、くだらないことで無邪気にケラケラと声を出して笑ってみたり、空を見上げるついでに首のシワも伸ばしてみたりしながら、本日も口角あげてまいりましょうね。
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