今年も重陽(ちょうよう)の節句(9月9日)がやってくる。
1月1日の元日や、3月3日のひな祭り、5月5日の子どもの日、7月7日の七夕ほどの知名度や分かり易い華やかさのようなものはないのかもしれないけれど、
五節句の中で一番、大人ならではの楽しみを好きにチョイスし、自分のペースで楽しむことができるのが重陽(ちょうよう)の節句であるように思う。
私は、可愛らしいピンポンマムという品種の菊の花と日本酒を楽しむのが定番である。
菊湯も捨てがたいのだけれど、美しく咲いている菊を一瞬にして茹で菊にしてしまうことを躊躇することもあり、こちらは気が向いた年に楽しむに留まっている。
先日、知人とそのような話をしていると、「菊に良いイメージは無い」と言われてしまった。
菊と言えば、弔事のイメージが先行するのかもしれないけれど、菊はそれだけではないのである。
本日は、重陽(ちょうよう)の節句前日というタイミングですので、これまでとはまた少し異なる角度から、菊のお話を少しと思っております。
ご興味ありましたら、重陽(ちょうよう)の節句先取り気分でお付き合いいただければと思います。
重陽(ちょうよう)の節句そのものについては、過去記事でも何度も触れておりますが、この日は重陽(ちょうよう)の節句という呼び方以外にも、菊の節句という呼び方もあり、
簡単に言うならば、菊を使ってこの日を祝って、邪気を祓って無病息災や長寿を祈りましょうという日です。
菊は、中国から伝わってきた花ですが邪気を祓うことができる聖なる植物という扱われ方以外にも、漢方薬として使われたり、虫除けとしても重宝されてきた花です。
今でも食用菊があり、お刺身などに添えられることもありますけれど、この食用菊の中でも延命薬と名付けられている食用菊は味が良いことで有名だといいます。
パッと見てそれが延命薬なのか私は判断できないのですが、特徴は、紫色に白を混ぜて淡くした色がそれなのだとか。
しかし、延命薬という名を持っていながら「もってのほか」という俗称で親しまれているといい、その理由は、もってのほか美味しい食用菊だという意味からそう呼ばれているとか、天皇家の家紋である菊を食べるなんてもってのかだという意味から呼ばれているなどといった説があります。
確かに、弔事にも使用される菊なのですが、不思議な力を持つ花で、薬効もあり、天皇家の家紋に使用される花で、吉祥文様としても大切にされているお花だからこそ、大切な節目に使われているというお花のような気がいたします。
この時季は、毛糸でできた、まあるいポンポンのようなピンポンマムがおすすめですが、マーガレットのような雰囲気をまとった小ぶりな菊も素敵かと。
ここへ足を運んで下さっている皆さんは、菊が素敵なお花だからといって弔事用としてアレンジされたものを、それ以外の用途で使うようなことは無いと思いますので、
是非、用途や季節に合ったお花との組み合わせで、菊を嗜んでみてはいかがでしょう。
菊も偏った視点からではなく、色々な視点から自由に愛でてあげてくださいませ。
関連記事:
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/