小料理屋の前に置いてある鉢植えには、立派な鬼灯(ほおずき)が多数ぶら下がっていた。
通るたびに、そのパッと目を惹くオレンジ色に視線を奪われていたのだけれど、先日、小料理屋の前を通るとオレンジ色の鬼灯(ほおずき)は「透かし鬼灯(ほおずき)」に変わっていた。
透かし鬼灯(ほおずき)とは、鬼灯(ほおずき)のオレンジ色の実をふわりと覆っているランプシェードのような袋の部分が葉脈のみを残してレース状となり、中の実が外側から見える状態のもののことである。
鬼灯(ほおずき)は、鮮やかなオレンジ色を残したままのドライフラワーも素敵だけれど、この自然界が作るレース状になったものも見応えがある。
器用な方は、このレーズ状の中身を小さな電球に取り換えて、鬼灯(ほおずき)の電飾でハロウィンを飾る方もいらっしゃる。
この透かし鬼灯(ほおずき)。
植えられたままの状態で放置しておけば、このような状態に仕上がるのだけれど、その時を待たなくても作ることができると知ったのは、数日前のことである。
蓋つきの空き瓶に鬼灯(ほおずき)を入れ、鬼灯(ほおずき)が全て完全に水に浸るまで水を注いで密封し、中の水が濁ってきたら新しい水に換えて再び密封。
こうすることで、時間とともにオレンジ色の部分が溶けて、葉脈だけが残り透かし鬼灯(ほおずき)になるのだとか。
ポイントは、鬼灯(ほおずき)を完全に水に浸っている状態をキープすること。
これは、美しいレース状の鬼灯(ほおずき)に仕上げるために、葉脈以外の袋部分を水で溶かしているのだけれど、ここで言う「溶かす」は「腐らせる」ということなので、瓶の中の水を換える際は、蓋を開けたときの腐敗臭への覚悟が必要なのだとか。
中のオレンジ色の実は、丸いまま仕上がることもあれば、萎んでしまったりすることも。
思うような仕上がりにならなかった時には、袋の先端に切り込みを入れて実を取り除き、他の実を接着剤でつけて楽しむこともできるそうだ。
この状態の透かし鬼灯(ほおずき)は素朴な生成り色も素敵なのだけれど、飲食店や雑貨店のオブジェで目にする透かし鬼灯(ほおずき)は、真っ白なものが多く、スタイリッシュな雰囲気のものが多いように思う。
こちらのホワイトバージョンは、葉脈のみを残した透かし鬼灯(ほおずき)をキッチン用漂白剤に浸けておくことで作ることができるという。
鬼灯(ほおずき)といえば、夏の雷除けのお守りだと言われていたり、サプリメントのような効果とフルーツのような酸味と甘みを持っている食用鬼灯(ほおずき)があったりと、楽しみ方満載だけれど
夏の終わりを告げる枯れ姿の鬼灯(ほおずき)は、枯れているなんて思わせない艶やかさを身に纏い、季節を過ぎても見る人を魅了する。
レース状の透かし鬼灯(ほおずき)は網鬼灯などとも呼ばれています。
見聞きする機会がありました際には、今回のお話をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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