お気に入りの小料理屋がある。
話上手で心配りや目配りに長けた女将と、無口だけれど帰り際に見せてくれる笑顔と不器用な物言いが素敵な大将が居る店である。
厨房の中をこっそりとのぞき込むと、どこのご家庭にも常備してあるような見慣れた調味料がずらりと並んでいるのだけれど、出てくるお料理はプロの技が光る絶品ばかりで、すっかり虜になって数年が経過した。
様々なスタイルのお店に足を運ぶけれど、ここは、祖父母の家で食事をしているような感覚に近い何かを感じられる場所だ。
ひとつだけ全く異なる点があるとするならば、毎度、上げ膳据え膳で心身共に栄養チャージさせてもらえるところだろうか。
久しぶりに、この場所で食事をしていると、運ばれてきたお料理の上に色鮮やかな結び三つ葉が乗っていた。
三つ葉の香りや色が持つ華やかさは言わずもがななのだけれど、私はこの、手を加えられた結び三つ葉を目にすると一人静かにテンションがあがるのだ。
結び三つ葉とは、洗った三つ葉を熱湯に軽くくぐらせた後、冷水で素早く色止めをする。
次に、爽やかなグリーンに染まった三つ葉の茎先を、葉っぱの根元まで近づけるようにして茎を二重にし、茎の部分で輪っかを作るように一つ結びをしたものだ。
葉っぱが小さいものや茎が短くて輪っかを作り難いものであれば、三つ葉の茎を数本束ねて輪っかを作り、余分な茎を切り揃える方法もある。
こうして、ひと手間かけられた結び三つ葉はお料理に華やかさを添えるだけでなく、様々な『ご縁を結ぶ』という意味があり、縁起ものとして御祝いの席やお正月料理、その他様々なシーンで使われている。
私もこの結び三つ葉を自宅で作ることがあるのだけれど、葉っぱ部分のハリ感をある一定時間保つ技がいまひとつ。
幸いにも三つ葉の香りや味に抵抗が無いので、熱湯に潜らせるのは茎部分のみにして、半人前の結び三つ葉を使っている。
今年、いや来年か。
年明け早々に作るであろうお雑煮にあしらう結び三つ葉、次こそは、大将がお料理に添えてくれた結び三つ葉のように、熱湯にくぐらせてもなお、ハリ感を保っているものに仕上げたいと思っているところである。
三つ葉が持っている栄養に関しては過去に話題にさせていただいたことがありますので、ご興味ありました際には、そちらをご確認いただくとして。
お正月メニューや御祝いメニュー、おもてなしメニューに三つ葉を使うご予定があれば、結び三つ葉などいかがでしょう。
「ものごと」や「人」、「タイミング」に「ハッピーサプライズ」などなど、様々なご縁を結んでくれるかもしれません。
この手の添え物野菜やハーブは好みがありますけれど、目の前に出していただいたお料理に結び三つ葉が添えられていた折りには、願うご縁を思い浮かべつついただくというのも一興かと。
本日もココロ晴れやかな1日となりますように☆彡
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