幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

作られる常識と漂白剤。

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ドラッグストアに立ち寄り、洗剤を物色していると、食器洗い専用洗剤を片っ端から手に取り、「これも違う」、「こっちも違う」と話している外国人夫婦の会話が聞こえてきた。

私の耳や英語力はネイティブ級ではないため、自動で聞き取ることができる会話の内容は、ある程度限られており、その他は意識して聴こうと思わなければBGMのようにして流れ去っていく。

この日は、お目当ての洗剤を探しているのだろうと解釈した後の2人の会話は、私のBGMと化していた。

そのうち、外国人ご夫婦が近くにいたことも忘れて洗剤を吟味していると、機械音で「すみません」と聞こえた方を振り返ると、先ほどのご夫婦がスマートフォンの画面を差し出しだ。

人生で2度目となる翻訳アプリによる声掛けである。

持ち主が、スマートフォンの再生ボタンに触れると「掃除用の漂白剤を探しています。どれですか?」と聞こえた。

私は、キッチン用?と確認を含めて尋ねると家中に使える漂白剤で、もっと大きいサイズのボトルが欲しいと返ってきた。

その発音からイギリス人らしきお二人だと推測し、急に漂白剤の想い出が蘇った。

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私たちも漂白剤を使うことはあるけれど、家中の掃除に漂白剤を使っているという方は少ないのではないだろうか。

更に近年では、ナチュラルクリーニングを好む方も増えており、漂白剤はここぞという時に使う最終アイテムのような扱いをしている方も多いように思う。

しかし、イギリスでは漂白剤を多用するお宅が非常に多い上に、一度に使用する量が桁外れに多くて、驚かされる。

例えば、1泊2日で家を空けるとなれば、キッチンや洗面所、お風呂にトイレなど全ての排水溝に漂白剤の原液を一か所にワンボトル、どぼどぼどぼーっと注ぎ入れるのである。

日常的な掃除にも漂白剤をどぼどぼと注ぐのだけれど、掃除の仕上げにも、漂白剤の原液を染み込ませた雑巾でひと拭きするお宅もあり、

玄関を開けた瞬間に出迎えてくれた漂白剤のにおいで、お掃除したばかりだと気付いたり、外にまで漂っているにおいから、このお宅はお掃除中かしら?ご旅行中かしら?と思うことも多々あった。

薄めて使っても十分に除菌効果を発揮するはずなのだけれど、私が出会ったイギリス人の方々の多くは、原液でないと菌は死なないと言い切っていた。

これがとても不思議だったのだけれど、多くの方がそう言い切るのは、このような使い方をすることが至る所で推奨されており、こうすることでウィルスに感染する心配もなくなると言われているからだとわかった。

要するに彼らの常識なのである。

私たちも国が推奨していると安心したり、正しいことだと思うことがあるけれど、こうして常識は作られていくのかと、驚きとちょっとした怖さを感じた出来事であった。

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漂白剤と言えば、昨年、魚の奇形が増えている原因のひとつとして、人間が使っている漂白剤による影響が挙げられているという話題に触れる機会があった。

その時に、自分の使用量を思い返して、それ程多い量ではないことに胸を撫でおろしかけた瞬間、そういうことではないぞと思い直したのだけれど、

イギリス人らしきご夫婦に、全ての用途に使うことができる原液の漂白剤をお伝えし、その漂白剤ボトルを買い物カゴいっぱいに入れる様子を視界の端で捉えながら、全ては繋がっていると改めて感じたドラッグストアでのひとこまである。

漂白剤を日常使いしているわけではないけれど、常備アイテムであることに変わりはないので、今年は昨年よりも少しだけ、漂白剤の使用量を減らしてみようかしらと思った日。

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