幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

古い道具から繋がる三種の神器。

f:id:hiiragi1111:20200218165228j:plain

考え事をしながら歩いていると、カチカチッ、カチッカチッと聞きなれない音がした。

その音の正体を突き止めようと、ひと目に怪しい人物だと映らない程度に辺りを見回すと、内装工事中の店舗の外で作業員の方々が石で石を叩き崩しているところだった。

素材の確認でもしているのか、その姿が時代劇中などで目にする、火打石(ひうちいし)を鳴らす姿に似ていたものだから、時代劇マニアである友人との会話を思い出した。

いつだったか、時代劇中に出てくる様々なアイテムについて、あれやこれやと話をしていたのだけれど、そのときに火打石(ひうちいし)が登場した。

そして、当時の方々の中に、火打石(ひうちいし)の火花で着物を焼いてしまった人はいなかったのだろうかという話になった。

そのような話を探し当てることはできなかったけれど、中には不器用な人もいたはずで。

いつか、そのような面白エピソードに出会えるといいのだけれどと思ったことを記憶している。

f:id:hiiragi1111:20200218173125j:plain

火打石(ひうちいし)は、行灯やかまどの火付けなどで使用する、今でいうところのライターやマッチのようなものなのだけれど、石と金属片の2つをセットにして使われていたものだ。

とても貴重なアイテムだったそうで、誰でも使うことができるようになったのは、江戸時代の頃だという。

私は、出かける前に肩の辺りでカチカチッと火花を散らしてもらうシーンが特に印象的なのだけれど、火打石(ひうちいし)で作られたこの火は、出来たばかりの穢れなき火として見られていたそうで、

身を清めたり、厄を除けたりすることができるという考えのもと、無事に帰宅できますように、運気が上がりますようにと言った願いを込めて火花を散らすようになったという。 

f:id:hiiragi1111:20200218164828j:plain

そう言えば、火打石(ひうちいし)は、古事記にも登場する。

ヤマトタケルノミコトが遠征へ出向く前に、叔母のところに立ち寄るのだけれど、その時に叔母から剣と火打石(ひうちいし)をお守りにと手渡されるのだ。

そして、遠征先で四方から火を放たれて逃げ場を失うというピンチに陥ったヤマトタケルノミコトは、その剣で草を薙ぎ払い、火打石(ひうちいし)で火を放ち返して脱出に成功する。

このエピソードと火打石(ひうちいし)の火の関連性を調べたことはないのだけれど、もしかしたら、このようなエピソードも火打石(ひうちいし)の火を特別な火として扱うきっかけになっているのかもしれない、と思う。

ちなみに、ヤマトタケルノミコトが叔母から手渡された剣には名前がついていたのだけれど、この出来事以降、ヤマトタケルノミコトの剣は、草を薙ぎ払った剣ということで「草薙の剣」と呼ばれるようになったと言われている。

そう、三種の神器のひとつである「草薙の剣」である。

f:id:hiiragi1111:20200218163917j:plain

古事記というと、登場人物が多すぎて挫折したと聞くことも多いけれど、登場人物の多くが一度限りの登場であることが多く、何度も出てくる登場人物は覚えようとしなくても、いつの間にか覚えてしまうくらい度々登場するため、

登場人物を把握しようとせずに、一期一会の読み切り短編集と思えば、意外と楽しめるように思う。

あとは、子ども向けに編集してあるものを選ぶのも手。

大人だからといって小難しく編集されたものを選ぶ必要はないと思っている私の所持品の中には、子供向けのものもあるのだけれど、多くの時間を割くことができない大人にもってこいなのである。

少しクセがある読み物、古事記にも登場する火打石(ひうちいし)だけれど、

私の興味は今も変わらず、火打石(ひうちいし)の火花で着物を焼いてしまった人はいなかったのだろうかということだと思い出したある日の光景である。

画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/