幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

そろそろ本気を見せるとき。

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散歩に出かけた。

自宅近くを通る大きな道路を往来する車の量に大きな変化はないように見えたけれど、排気ガスよりも芽吹いた草木の、青々とした香りの印象が強いところを見るに、やはり人も車も普段より外出を控えているのだろうと感じられた。

見慣れた景色を眺めながら、その日設定した散歩道を歩いていると塀を飛び越えて成長中の植物の葉っぱの上に、てんとう虫を見つけたのである。

久しぶりに目にするてんとう虫に近づくと、体の奥まで透けて見えそうなほど体全体の色が薄く、元気がないように見えた。

ハッピーモチーフなのに元気がないなんてと、とても身勝手なことを思いながらもう一度だけ視線を向けると黒っぽい虫の上に乗っており、もしやこの虫がてんとう虫に悪さをしたのだろうかと思いながらその場を後にした。

それからしばらく経ってから、何となくあのてんとう虫は何という名をしていたのだろうかと記憶の中の映像を頼りにさがしていると、てんとう虫は昆虫から成虫に羽化するとあり、

寿司ネタにあるシャコのような姿をしたものが羽化すると、私たちが知っている丸っこいてんとう虫になるとあった。

てんとう虫って脱皮してあの姿になるの!?と初めて知った内容に衝撃を受けた2020年の初夏である。

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カブトムシも生まれた瞬間から、あの凛々しい姿をしているわけではないのだから、てんとう虫がそうであっても不思議ではないけれど、私の認識では、てんとう虫は、いつだってあのてんとう虫の姿だったのだ。

私が散歩中に見た体全体の色が薄く元気がないように見えたてんとう虫は、羽化したばかりだったということである。

はじめて目にした光景を思い返しながら、人間の過度な往来が減った期間、自然界はのびのびと本来の姿で過ごすことができたのかもしれないと思った。

そう言えば、宇宙ステーションからの話だっただろうか、出所の記憶が少々曖昧になってしまったけれど、世界中で外出自粛が行われている間の地球の振動を観察したところ、普段よりも振動が少なくなっていることが分かったという話があった。

便利さを追い求め続けた結果、それだけ地球に負担をかけてきたということである。

例えば、自分の体の細胞たちを地球に住んでいる私たちと仮定すると、細胞が24時間365日、体の中を必要以上に動き回り、私たちが感知できるくらいの振動を与え続けられたとしたら。

「細胞たちよ、お願いだから、ちょっと静かにしてくれる?私を少し眠らせてくれない?」と眉間にシワを寄せたくもなる。

何だか、そのようなことのような気がして。

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人間も生きていかなくていけないし、人生を楽しむことも手放したくないから自粛生活を続けることには限界があるけれど、これからはもっと、近くにいる人にも、自然にも、地球にも優しく接することで保つべきバランスが保てればと思う。

そうできれば、地球から「ちょっと静かにしてくれる?」などと言われずに過ごすことができるのではないだろうか。

「やればできるんだけど」ではなく、そろそろ、人間も本気を見せる頃である。

初めて知ったテントウムシの変身から、そのようなことを思った散歩道。

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