幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

松の木の奥にある世界への扉を開けて。

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自宅近くにある公園の一角に立派な松の木が植えてある。

その松の木の幹は、地面から2メートルほどの高さから横へ折れ曲がった状態を保ちながら伸びており、その横へと延びた幹を支えるための添え木が数本設置してある。

日当たりが悪いような場所ではないことから、太陽の光を求めて横へ伸びたわけではなさそうに見えるその松の木を目にする度に、福岡県にある住吉神社の松の木を思い出す。

友人の案内のもと1度だけ訪れたことがある神社なのだけれど、ここの松の木には伝説がある。

その伝説というのは、敷地内に社殿を建てようとした折、1本の古い松の木が社殿側に傾くようにして伸びていたため建設の妨げになると判断されたのだとか。

そこで、関係者たちが集まり、この松の木をどうするかという話し合いの末、伐採することが決まったという。

松の木伐採の当日、彼らが松の木のもとへ行くと、不思議なことに空へ向かって真っすぐに伸びていたというのだ。

この出来事に人々は驚き、この松のことを「一夜の松」と呼んで祀るようになったのだとか。

現在も住吉神社には「一夜の松」があるのだけれど、言い伝えに登場する松の木は既に枯れてしまっており、現在の松の木は、言い伝えに登場する松の子孫にあたる木で、親木同様に大切にされている。

自宅近くにある公園の松の木には、このような不思議エピソードは無いようだけれど、豪快に横へ横へと伸びる様は見ていて気持ちが良く、つい視線を向けてしまう松である。

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松の木と言えば、日本には松の木が登場する伝説が数多く残っている。

どの伝説にフォーカスするか迷ってしまうほどあるのだけれど、幸せのレシピ集で度々登場する弘法大師(空海)は松の木エピソードも持っている人物である。

弘法大師(空海)とは「弘法にも筆の誤り/弘法も筆の誤り」のことわざでも、お馴染みの彼である。

彼は、唐から日本へ帰国するときに、「日本で真言密教を広めるために適した地へ行くことができますように」という願いを込め、手にしていた法具のひとつを出港する港から、日本がある東の空へ向かって投げたというのだ。

筆といい法具といい、弘法大師(空海)は自分の仕事道具をよく投げる人だという印象が私の中にはあるのだけれど、その豪快さが不思議と魅力的に映る人物であるように思う。

その豪快な性格をした彼が、唐の地から日本へ向けて投げたという法具。

私がその様子を想像するに、願いを込めて投げ放った法具は、あっという間に目の前の海へドボンッと沈んで終わってしまうところだけれど、嘘か真か弘法大師(空海)が投げた法具は、日本の和歌山県にある高野山の松の木にひっかかっていたというのだ。

今回は突っ込まずに話を続けると……、法具がひっかかっていた松の木の葉は、3本だったというのである。

少々分かり難いけれど、松の葉は2本であることが一般的なのだそう。

品種違いで5本の葉を持つ松もあるようなのだけれど、3本というのはとても珍しいという。

ここから、松の3本葉は縁起が良いと言われるようになり、見つけたときにはお守りとして持ち帰ると良いと言われるように。

私は、このエピソードを知ったときに初めて、松の葉が2本であることに意識が向いたのだけれど、以降も、松の3本葉は見つけられていない。

いや、もしかしたら既に幾度も目にしているのに、私の意識がそこへ向いていないだけなのかもしれないけれど。

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確か、西洋にも松の木にまつわる話がある。

ギリシャ神話だったと記憶しているのだけれど、海の神様と言われるポセイドンの母が思いを寄せていた人には恋人がおり、

なかなか自分の方に振り向いてくれないことに嫉妬し、その彼を松の木に変えてしまったのだとか。

そして、愛していた彼を自分で松の木に変えてしまったというのに、ポセイドンの母は彼のことを忘れることが出来ず、松の木のそばで泣き続ける日々だったというのだ。

その様子を見かねた彼女の子ども(神様)の一人が、いつまでも彼の姿が変わらぬようにと松を常緑樹、季節を問わず緑色の葉を保つ植物に変えたという話である。

ギリシャ神話は、このようなストーリー展開が多く、神と呼ばれる存在たちは人間以上に人間臭いように思う。

しかも、気に入らないとすぐに相手の姿を他の何かに変えてしまう展開は、時代劇顔負けのお決まりパターンで、読みなれてくると笑ってしまいそうにもなるのだけれど、

相手の姿を他の何かに変えることはできるのに、元に戻すことはできないあたり、色々と考えさせられたりもする。

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エピソードに困らない松の木は、知れば知るほど興味深い植物なのですが、今回はこの辺でお開きとさせていただきます。

松の木を目にする機会がありました折には、今回のお話の何かしらを思い出していただけましたら幸いです。

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