幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

竹のBプランが発動するとき。

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最近、目にする機会が増えているCMがある。

CM内には「桃太郎は、あまりの暑さに川を泳いで行ってしまいました。かぐや姫は森林伐採で竹を見つけられず……人魚姫はゴミが邪魔で地上に上がれませんでした。物語が変わる前に、守りましょう、地球環境」というナレーションが付けられている。

CMが伝えようとしているメッセージはさておき、かぐや姫の竹と言えば「マダケ」という名の、花を咲かせる竹であることを思い出した。

私が竹の花に触れたことがあるのは、書物の中やどなたかが撮影した画像のみで、未だ実物の竹の花というものを見たことがない。

しかも、竹の花を見たことがあるという方の話すら耳にしたことがなかったものだから、書物内で竹の花の描写に触れたときには、作者の空想上の竹の姿だと思っていたくらいである。

しかし、何かのきっかけで竹は花を咲かせる植物であるということを知り、いつか実物を見てみたいと思っているのだ。

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かぐや姫でお馴染みのマダケは、120年に1度だけ、花を咲かせるという。

日本に数多くみられる竹たちが最後に花を咲かせたのは1960年代だったそうなので、次に竹の花が咲くのは2080年頃だと言われている。

あと何年、その頃の私は……という野暮な計算はやめておくけれど、この予測通りに開花するのだとしたら、目にできるかもしれないタイミングは、随分と先の話である。

竹は一見、1本、1本が自立して生えているように見えるけれど、地下茎と呼ばれる、土の中で伸びて繋がって繁殖していく植物である。

このような性質を持っているので、竹のことをよく知らない素人が何の処置も施さず、気まぐれで竹を自宅の庭に植えてしまうと、土の中で伸びて枝分かれした茎から出た竹が成長し、家の床を突き破って成長を続けてしまうため、素人が簡単に手を出してはいけない植物だと言われている。

しかし、どんなにたくさんの竹が生えている竹林だったとしても、全てのもとは一つなので、竹は、竹の成長を妨げるような環境に晒されてしまうと、竹林の存在感からは想像し難いけれど、竹林が丸ごと、簡単に消滅してしまうという。

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このような自らの弱点を知ってのことか、普段は繁殖に花や種などを必要としていない竹だけれど、120年に一度だけ、花を咲かせて種という形で子孫を残すというのだ。

通常の繁殖方法をAプラントするならば、花を咲かせて繁殖するこちらはBプランといったところである。

Bプランは、竹が命をかけて次の世代へバトンを渡すようなもので、無事に花を咲かせて種を残した後の竹は全て枯れて土に還るそうだ。

だから、それを見越した管理をしていないのであれば、120年に1度という周期で、日本中の至る場所で竹林が消えてしまうことになるのだけれど、この仕組みを解明できていなかった先人たちは、竹の花が咲いたり、竹林が枯れて消えてしまうと不吉なことが起きる知らせだと言って、非常に恐れていたという。

昔から当たり前のようにある竹林だけれども、新しい環境にも適応していかなくてはいけないため、自分たちも変化しながら生きているのである。

120年という年月はあまりにも長く、その神秘的で命がけの光景を目にできる可能性は稀だけれど、見てみたいと思う。

しかし近年、120年経っていないというのに花を咲かせる竹が現れているそうで、これは吉凶どちらを知らせるメッセージなのだろうかという話もある。

竹の真意は分からないけれど、竹にとっても人間にとっても、今は大切な変化の時季のようである。

お散歩中などに竹を目にする機会がありました折には、今回のお話をちらりと思い出していただきまして、120年に一度咲くという貴重な竹の花探しなどいかがでしょうか。

画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/