今年は浴衣を着る機会があるだろうか。
そのようなことを思いながら、全ての浴衣を取り出した。
梅雨が明けたら風を浴衣に軽く通して、虫食いに遭っていないか、色褪せた部分はないかなどを確認する恒例作業である。
初夏から夏にかけて纏うものだけれど、柄の意味を知ってしまうと、より適した着用時季というものが其々の浴衣にあるため、和装は洋装とは別の楽しみや奥深さがあるように思う。
和装に凝りだしてしまうと、それはそれで大変そうだとも感じるため、今は程よいところで気持ちを止めているところである。
今年は着る機会がないかもしれないと思い、確認も兼ねて鏡の前で羽織って遊んでいたのだけれど、ふと、バスローブの合わせを未だに迷うことを思い出した。
バスローブは、お風呂あがりやシャワーから出た後に着る、あれ。
体が濡れたままの状態でサッと羽織って水滴を吸わせることができるため、慣れてしまうと非常に便利で、お肌にも優しいアイテムなのだけど、私が上手に探せていないのだろう。
使う度に肌触りが良くなるような、何度もリピートしたくなるような「とっておき」を見つけるのが難しい印象がある。
そんなバスローブだけれど、内側に紐やボタンが付いているものは、何も考えずに紐やボタンを頼りに着るだけで男性は右側を体に付けた後に左側をかぶせて完成し、女性は左側を体に付けた後に右側をかぶせて完成するようにできている。
しかし、大まかなサイズがあるだけの男女兼用タイプは、紐やボタンといった道標がないことから、浴衣や着物を連想させ、どちら側が先だったかしらと混乱してしまうのだ。
何も考えずに纏えば、うっかり和装の癖が出ていたということもよくある話だ。
着物を知っている日本人だから乱してしまうのだけれど、いつだったか友人が、そもそもバスローブは外国のものなのだから洋服の一種だと思えばいいんじゃないかと言ったのである。
確かに、男性もののシャツはボタンが右についており、女性ものはボタンが左についているので、これを基準にすれば間違うことなく着ると分かり今に至っている。
男性は偶然にもバスローブも着物も右前なので迷うことはないけれど、女性は異なっているので覚えやすい方を基準にして「洋装は和装と逆」あるいは「和装は洋装と逆」と覚えておくと迷わずに済むように思う。
とは言うものの、バスローブはプライベートなものなので、誰かに見られるとすれば親しい間柄の人だけ。
私個人としては、着たいように着ればいいと思っているのだけれど、和装で前合わせを間違ってしまうと死装束になるという認識が「これは、どちらが前?」と思わせてしまうようだ。
そのようなことを思いながら浴衣のお手入れをした日。
バスローブを使う機会がありました折には、今回のお話をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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