梅雨が明けたような気がした途端に、夏の本気を見せつけらる日々だ。
なかなか明けない梅雨にヤキモキしつつも、今年は暑さ控えめの夏になるかもしれないと、私は密かに期待していたのだけれど、やはり今年も、このような状況下でも、自然は帳尻を合わせてくるのである。
その日すれ違ったのは、汗だくになりながら駆けて行ったマスク姿のちびっ子たち。
暑さに萎れかけそうになっている私とは異なり、彼らの全身からは「楽しい」という空気が溢れ出ており、微笑ましく思った。
鞄の中に忍ばせているハンディーファンを取り出すか否か葛藤していると、立派なサボテンが目に留まった。
カウボーイが出てくる映画に登場しそうな、団扇状の塊がいくつもくっついたサボテンだ。
私の背丈ほどありそうなそれが、家の前に3鉢並べられていたんどあけれど、水やりの後なのかサボテンに付いた水滴に日差しが反射して輝いて見えた。
サボテンは、日本でも食材として扱われているけれど、イタリアにはウチワサボテンのジャムやシロップ、果実などでも有名なマルタ島という島がある。
聞いたことがあるという方も多いかと思うのだけれど、青の洞窟でもお馴染みのマルタ島だ。
私はマルタ島のお土産でサボテンジャムをいただいたことがあるのだけれど、日本のサボテンの味とは異なる、優しい甘さをしたジャムだったと記憶している。
知人の一押しはフレッシュなサボテンの果実で、是非これを、現地で食べてみて欲しいと言われていたけれど、食べる機会がないまま今に至っていることに気が付いた。
サボテンの果実を割ると、果肉の中には黒くて硬い種が散らばっているのだけれど、種が散らばった状態のまま果肉を味わい、種は飲み込んでしまうのが現地流の食べ方なのだとか。
そう聞いたときには、少々面倒な食べ物だと感じたけれど、日本にもドラゴンフルーツのように種ごと食べるフルーツもあるのだから、あのような感覚で食べる果実なのかもしれないと想像している。
食べられるとは言え、流石に栄養価は高くはないだろうと思い調べてみると、サボテンの果実は脂肪を吸着して体の外へ排出したり、ビタミンやミネラルが含まれていたりと、体内環境を健やかに整える栄養が含まれていることが分かった。
しかも、ウチワサボテンの果実には水分が豊富に含まれているといい、今のような暑い時期や干ばつの時などの水分補給を手助けしてくれるレスキューフルーツとして、人だけでなく自然界に棲む様々な生き物にとっても馴染みが深い大切な果実のようだ。
そのようなことを思い出したり、知ってからは、ウチワサボテンを目にする機会はないのだけれど、いつかレスキューフルーツと呼ばれるウチワサボテンの果実をお味見できたらと思う。
もちろん、プロによる適切な処理が施されたものに限りますけれど。
ウチワサボテンを目にする機会がありました折には、果実を探しつつ、今回のお話をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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