今春の頃だったと思うのだけれど、ふと、新しいことにトライしてみたくなった。
しかし、世の中はコロナウイルスのことでてんやわんやしており、トライできることにも限りがあった。
そこで、自宅で簡単に始められることの中から、以前から興味を持っていた糠漬けにトライすることにした。
自分のことでありながら、いつまで続くだろうかと思いながら漬け始めたけれど、想像以上の手軽さに助けられ、今も何とか続けられている。
続けられているとは言え、糠床デビューから4カ月ほどのひよっこゆえ、糠を入れているのは体験キットに付いてきたジッパー付きの袋のまま。
気分としては、糠床を想像させないような、おしゃれな糠床入れを使って糠漬けを作りたいのだけれど、まだ続けられる自信も覚悟もないのだろう。
味気ない袋に野菜を押し込む日々である。
この日も1日後に訪れる、美味しい糠漬けをぱりぽりと音を立てて味わう口福タイムを想像しつつ、野菜を取り上げた後の糠床に新しい野菜を押し込んだ。
夏のにおいがする立派なキュウリを押し込みながら、ふと、イギリスの日用品でよく目にしたキューカンバー(きゅうり)の表記を思い出した。
私は肌が強くないので素肌に使うものは日本から送ってもらうなどしていたのだけれど、全てをそうしていたのでは、それはそれで生活が息苦しいものになってしまうため、あちらのお国のもので自分の肌に合うものを探すこともしていた。
このような話をすると「大変だね」と言われることもあったけれど、当の本人はそれほど大変だとは感じておらず、寧ろ新しいものを知る機会として楽しんでいたように思う。
そこで気が付いたのだ。
キューカンバーエキスと記された商品が多いことに。
ボディーソープやシャンプー、ボディーローションや化粧水、香水と、とにかく様々なものに使われていたのだ。
キューカンバーエキスって本当にキュウリエキスですか?あの、野菜のキュウリ?と幾度か店の店員に尋ねたのだけれど、皆、真顔でそうだと答えるのだ。
中には、「このアジア人、変なことを聞いてくるわね」といった表情と口調で答えられることもあり、この国ではキュウリが大活躍している、と思った。
よくよく聞けば、瑞々しい爽やかな香りを加える際の原料としてキューカンバーエキス(きゅうりエキス)が使われているとのことだった。
私が恐る恐る手に取ったのは、キューカンバーエキスが入ったボディーソープだった。
しかも、キューカンバーの香りと記されているではないか。
心の目を丸くしつつも、信頼できる成分とお店だということが決め手となり、そのキューカンバーの香りがするらしいボディーソープをいただいて帰ることにした。
使ってみた感想は、爽やかなグリーン系の香りで、好き嫌いが出にくい万人受けする香りという印象を受けた。
キュウリと聞いて連想する夏の香りや青臭さとは無縁で、それからしばらくキュウリの香りに夢中になったことは言うまでもない。
物は試しと言うけれど、本当にそうである。
一歩を踏み出してみると、自分の頭の中にある固定観念がゆるりと解れていき、新しい世界や感覚がパーッと広がるように思う。
例えそれが、キューカンバーエキスのように小さなことであったとしても、である。
日本では、あまり頻繁に目にしないキューカンバーエキス表記ではありますけれど、機会がありました折には、物は試しでございます。
アレルギーなどが無ければ、キューカンバーエキスの爽やかな香りを体験してみてはいかがでしょうか。
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