長年愛用しているペーパーナイフが2本ある。
そのうちの1本は、当時の仕事仲間が海外旅行のお土産に贈ってくれたものである。
とてもシンプルなデザインで握ったときの馴染みも良く、気付けば両の手の指の数では足りないほどの年月を共にしている。
確かあのときの同僚は、長期休暇を取ってオーロラを観に行ったのだ。
そのオーロラ観測旅行へ行く数か月ほど前だっただろうか。
同僚は私をランチに誘い、一生に一度でいいから肉眼でオーロラを観るのが子どもの頃からの夢だと熱心に話してくれた。
ここまで熱い気持ちにさせてくれるものがあるなんて素敵なことだと思いながら、ランチを楽しんでいると「だからお願い、2週間休んでもいいかな」と切り出されたと記憶している。
同僚の仕事が私に丸ごと圧し掛かることを気にしての申し出だったのだろうけれど、断る理由などどこにもなく、それから数カ月後、同僚は子どもの頃からの夢を叶えるべくフィンランドへと旅立った。
オーロラと一口に言っても、条件の組み合わせによって色や形状は様々で、どのような条件下で現れるのか分かっていないそうなので、刻々と表情を変える雲と同じように、オーロラとの出会いも一期一会である。
私には同僚ほどの熱量はないのだけれど、あの頃にオーロラの話をこれでもかというほど耳にした影響からか、オーロラ画像に目が留まるようになっている。
先日も、SNS上で様々なオーロラ画像を目にして、オーロラのシーズンの始まりから秋を感じたところである。
オーロラと言うと、北欧やカナダなどへ行かなくては見ることができない印象があるけれど、稀に北海道でも観ることができると言われている。
オーロラは大気発光現象の1つなので、太陽活動が活発なときが狙い目なのだそう。
太陽活動が活発なときというのは、太陽の表面で大きな爆発が度々起こるのだけれど、このときに強い太陽風が地球に向かって吹いてくる。
そして、この太陽風が磁場を乱したときに、「とても大きな」と表現するべきか「立派な」と表現するべきか、見応えあるオーロラが発生するそうだ。
そして、日本で観られるオーロラは緯度の影響なのか、その多くが赤い色をしており赤気(せっき)と呼ばれているという。
日本書紀の中にも、この赤気(せっき)のことが記されているのだけれど、今のように眠らぬ日本ではなかった当時、漆黒の空に広がる赤気(せっき)は、先人たちの目にはどのように映ったのか、少し気になるところである。
近年では、インターネットを介してライブカメラに映るオーロラの映像をリアルタイムで観ることも可能だといいますし、今年のオーロラをSNSで目にすることも可能です。
本物に勝るものはないけれど、オーロラの世界に触れる方法はたくさんありますので、秋の夜長にオーロラ鑑賞などいかがでしょうか。
中には画像を探すことが難しいと言う方もいらっしゃるかと思いますので、今回の挿入画像はオーロラを選んでおります。
ちらりとお楽しみいただけましたら幸いです。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/