いつの間にか蝉の鳴き声がしなくなっていることに改めて気づいてハッとしたある日の午後。
飲み物とスマホを手にガーデンテーブルへと移動した。
もうすぐ9月も終わりなのだから、それもそうか。
時計など持っていないはずの彼らの方が、私たちよりもずっと時の流れに敏感であるように思えた。
ガーデンテーブルの下には夏の抜け殻のような蚊取り線香の香炉がひとつ。
これも、そろそろ片付けなくなくてはと思いつつ、「まぁ、後で」と頭の隅へと追いやった。
向かい側の空き椅子に両足を乗せて西の空を見上げた。
初めは、家のことや仕事のこと、大切な人たちのこと、最近気になっていることや、密かにチェック中の秋冬物のお洋服のことなど、次から次へと頭の中に思考が巡っていた。
ひと通り頭の中に出尽くしてしまったのかパタリと何も浮かばなくなった。
この瞬間が心地よくて、時々こうしてぼーっと空を見上げる。
すると、太陽の側で浮いている雲が虹色に染まっていることを発見し、思わず背筋をシャンと伸ばして、もう一度、少し先の空に視線を移し直した。
間違いない、彩雲だ。
「彩雲(さいうん)」というのは、太陽の側を流れる雲や太陽の近くにある雲が虹色に染まる現象のこと。
彩雲は古から人々に目撃されており、見た人に幸運を運んでくる吉祥の印として
親しまれてきたという。
今は「彩雲(さいうん)」と呼ばれることが多いのだけれど、日本では、瑞雲(ずいうん)、景雲(けいうん)、紫雲(紫雲) 、慶雲(けいうん)、英語では「虹の雲(rainbow clouds)」、「炎の虹(fire rainbows)」と呼ばれることもあるので、違う名でご存知の方もいらっしゃるかと。
彩雲は、吉祥の印などと言われており、滅多に見ることができない現象のようなイメージがあるけれど、実際にはそれほど珍しい現象ではない。
仕組みは雲に含まれている水滴に太陽が反射して虹の様に見えるのだとか。
そして、このような秋空で目にすることが多い「うろこ雲」や「ひつじ雲」は、虹色に染まりやすい雲なので彩雲になる可能性が高いとも言われている。
その日私が見た雲も、うろこ雲のような、ひつじ雲のような雲だった。
お天気が良い日は空を見上げて、彩雲探しなんていかがでしょうか。
ただし、小さいお子さんには太陽を直接目で見ないように、きちんと教えてあげて下さいませ。
虹色に染まった雲は幸運を運んでくると思うだけで何だかワクワクするものである。
本日の彩雲の画像を目にしたあなたにも、何か素敵なことがありますように☆彡
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/