大人になると「ものづくり」という機会が減ってしまうものです。
楽しみながら時間が経つのも忘れて無心に作るものづくりの趣味でもなければ、
日々の食事など生活に直結したものづくりになりやすい傾向にあるように思います。
もちろん、それも楽しんで行える作業ではあるけれど、
私たちの脳は普段とは少し異なることを楽しみにしています。
そこで、今回は誰でも簡単にできるモイストポプリの世界を覗いてみませんか?
「ポプリ」はフランス語でお鍋や壺を意味するpotと、
混ぜる、発酵させるといった意味をもつpourriが組み合わされた言葉です。
モイストポプリは粗塩と半乾きの花びらや
香草(ドライハーブ、ドライフラワーも可)、精油を使って作るしっとりとしたポプリで、
発酵や熟成を楽しむポプリのことです。
様々なポプリスタイルが世界中で楽しまれているのですが、
ドライポプリはイギリススタイル、モイストポプリはフランススタイルとも言われております。
モイストポプリの魅力は、
まず、材料を揃え混ぜるだけで出来上がってしまうお手軽さ。
香りを熟成させてオリジナルの香りが仕上がる過程をじっくり楽しむことができるところ。
時々中身をかき混ぜながら香りをつくっていきますので、2年程香りが持続します。
2年程と控えめな年数をお伝えしておりますが、
私はフランスで30年もののモイストポプリと出会ったことがあります。
それはそれは、深みのある、それでいて爽やかなフルーティーフローラルな香りでした。
どうして、このように長い年月香りが持続するのかと言いますと、
熟成と発酵による力が大きいのですが、もうひとつ。
モイストポプリは香りを楽しみたい時にのみ蓋を開けたり、
使いたい分だけ別容器に取り出すなどして楽しむことも理由のひとつです。
モイストポプリは、果実酒を漬け込むような、ナッツのハチミツ漬けを作るような、
ぬか床を育てる様な感覚にも似ているのかもしれませんね。
簡単そうだから秋の夜長に、冬支度の合間に作ってみようかしら?
と思われた方もいらっしゃるかもしれませんので、
一番シンプルな作り方をご紹介します。
【用意するもの】
・蓋のついたガラス容器(粗塩を使用しますので蓋は錆にくいものを)
・粗塩(スーパーなどで手に入るものでOK)
・お好みのドライハーブやドライフラワー
(半分乾燥させた花びらやオレンジやレモン、りんごなどのスライスしたフルーツを電子レンジで乾燥させてポプリにしたものなどもOK)
・精油
【作り方】
【1】瓶の底から粗塩1cm→ドライフラワ1cmー→粗塩1cm→ドライフラワー1cm……の順に一番上が粗塩になるように重ね、蓋をして2週間ほど寝かせます。
【2】2週間後、中身をボウルや洗面器などに出し混ぜ合わせ、粗塩10グラムに対して精油を約1滴混ぜ合わせ再度容器に詰めて1か月程寝かせたら完成です。
【3】完成した後は、時々中身を出して混ぜあわせることで香りが深くまろやかに変化します。香りを楽しむときには蓋を開けて置いておくだけでもいいのですが、小さな器に移して使いきってしまうのもおすすめです。
【補足】大切な方から頂いた花束やお庭のお花を楽しんだ後にモイストポプリにするのも楽しいものです。使用する精油はお好みのもので構いませんが、スイートオレンジなどの柑橘系のオイルとラベンダーオイルの組み合わせは、とても爽やかで気分が上がりますのでリビングや玄関などにも似合います。香りに飽きてしまったら、作ったモイストポプリを茶葉を入れるお茶パックに入れ、オリジナルの入浴剤として使い切ってしまうこともできます。
何かをつくる力は、未来をつくる力にもつながります。
日々の暮らしも、自分の未来も、楽しみながら創りあげていきたいものですね。
フランススタイルのモイストポプリ、ご興味ありましたら是非。