ここ最近の出来事なのだけれど、
久しぶりに袖を通したお洋服のポケットからリップクリームが出てきた。
またある時は、久しぶりに使ったバッグの内ポケットからもリップクリームが出てきた。
カラーペンを取り出そうとペンケースを覗き込むと、
ペンケースからもそれは出てきた。
その後も、至る所から使いかけのものがひょっこりと顔をだし、
少しばかり、やれやれ……と力が抜けた。
きっと、外出中に唇の乾燥が気になり購入したものや、
成分に興味が湧いて試しに買ってみたもの、
自宅にいる時に、わざわざ部屋を行き来して
ポーチからリップクリームを取り出することが面倒で主要な部屋に常備したもの、
理由は様々だけれども、気付けば地味にリップクリームが増えてしまっていた。
「増えすぎている」、私の動物的な勘が働くのだろう。
年に1、2度、それらを小さな籠を片手に集めてまわることがある。
そのタイミングが、先日やってきた。
籠の中に転がるリップクリームを覗き込むと自分の拘りが露呈していた。
できるだけ刺激を与えないような成分で無香料のものが主流。
オーガニック系のものが多いこともあってなのか、
パッケージもどことなくナチュラルでシンプルなものが多いように感じた。
だけれども、いつもの安心感や安定感だけでは、
少々物足りなさを感じる瞬間があるのかもしれない。
気分をぐいっと盛り上げてくれるような香り付きのものや、
ヴィヴィッドなパッケージ、キュートさ全開、といったようなパッケージのものも転がっていた。
冒険心やちょっとした刺激を求めたのであろう私の片鱗。
リップクリーム1本で冒険心が満たされたのであれば、この状況もありか、と思ったり。
しかし、最終的には肌が心地よいと感じるものに落ち着くもので
籠の中から引き続き使うものと、そうでないものを選り分けた。
お役御免を言い渡すには気が引けるため、
私は籠の中に残ったリップクリームに第二のお役目を担ってもらうことにした。
よく、リップクリームや口紅の最後の部分を使い切るために
容器から取り出して溶かして移し替えるといった再利用方法がある。
私も何度か試して見たことがあるのだけれど、少々面倒だと感じている。
更に、私が敏感肌だからゆえに感じることだとは思うのだけれども、
再度溶かして固め直した場合、
少しだけ質感が変わり肌馴染みにも変化がでるように感じるのだ。
だから私は、使いきれなかったリップクリームなどは専らお掃除に使っている。
ひとつめは、コンパクトの鏡をはじめとする家中の鏡に
ティッシュやコットンでリップクリームを塗り広げ
レンジで軽く温めた蒸しタオルで拭き取るというもの。
汚れが取れるだけでなく、次第に汚れも付きにくくなってくる。
ふたつめは、お掃除後に引き戸仕様になっている場所の溝に薄く塗り広げて
引き戸の滑りを滑らかにするというもの。
この場合、色付きリップクリームは使うことはできないけれど、
透明タイプのものであれば問題なし。
滑りが良くなるだけではなく、木材の乾燥も防ぐことができ、艶も増すため、
地味な心地よさを感じることができる。
何より、リップクリームたちを無駄にしなくて済んだと
自分の中で何かしらの帳尻が合うような気もしている。
使いきれなかったリップクリームや
使用期限に不安があるリップクリームをお持ちの方は、
気軽にお掃除に使ってみてはいかがでしょうか。
あなたの中にある、何かしらの帳尻も合うかもしれません。
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