幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

舞い込んだ羽根と言葉の世界。

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最近、高圧洗浄機なるものを購入した。

自力でお掃除できないわけではないのだけれど、丸1日かけて行っていた掃除が、2、3時間で済むとなれば話が少々変わってくる。

実際にそれでベランダの床や壁、設置しているガーデンテーブルやチェア、玄関外の外回りや外壁などを洗浄してみたのだけれど、

短時間で、想像していた以上にキレイになった。

購入したものは高圧洗浄機なのだけれど、これから先の時間を購入したような、そのような気分になった。

高圧洗浄機デビューとなったその日は、秋というよりは夏日を思わせるような気温で、跳ね返る水しぶきを心地よいと感じる日だった。

掃除をすすめていると、何処からか白い羽根がベランダの濡れた床に舞い落ちた。

綿毛のような羽根ではなく、羽根ペンとして陳列棚に並んでいてもおかしくないような、とても立派な羽根だった。

このような羽を目にしたとき、もしくは文章で書き記すとき、「羽根」と書くべきか、「羽」と書くべきか迷ったことはないだろうか。

私は仕事柄、そのようなことで立ち止まることが少なくないのだけれど、

過去に、この「羽根、羽」の表記にも、何度も足止めをさせられたように思う。

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どちらも、同じものを指しているため紛らわしいのだけれど、

ポイントは、「はね」がどのような状態にあるのかを基準にして使い分けられている。

鳥でも虫でも、蝶でも良いのだけれど、「はね」と呼ばれるものを持っている本体に付いている(生えている)状態の「はね」を「羽」と記す。

一方の「羽根」は、本体から抜け落ちた状態の「はね」を記す際に用いるのだ。

だから、今回私のベランダに舞い込んできたような「はね」は、鳥の体から抜け落ちた「はね」なので、「羽根」と記している。

羽根ペンも、羽ペンと記載されていることもあるけれど、抜け落ちた「はね」が使われている場合は、「羽根ペン」で、羽毛布団やダウンから飛び出した「はね」も「羽根」と表記するのだ。

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ちょっとしたことなのだけれど、この違いを知っていると、小説等を読んでいるときなどは、

情景をよりリアルに感じ取ることが出来たり、

作者が「はね」に対して思い入れがあるのか、あまり拘っていないのか、

もしくは、他の意味を含ませた上で敢えて「羽根(羽)」ではなく「羽(/羽根)」を使っているのか。

そのような視点でも作品を楽しむことができるように思う。

ちなみに、私たちが束縛されることなく、自由に過ごすことを「羽を伸ばす」、「羽を休める」などと言うけれど、

これは、私たちを鳥に例えて表現しており、「はね」が体に生えている状態なので、「羽根」ではなく「羽」が使われている。

古くから私たちの身の周りにある「羽根」や「羽」が付く言葉を少しだけ丁寧に感じてみると、

言葉の奥にある世界を見ることができるのではないだろうか。

同じものを指しているけれど、似て非なる羽根と羽。

触れる機会がありましたら、今回のお話をちらりと意思い出していただけましたら幸いです。

画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/