ドライブの途中で立ち寄った道の駅。
時間が早かったこともあり、生産者の方々がご自慢の新鮮野菜を各々のスペースに並べているところだった。
スーパーの陳列棚に並ぶそれらと比べると、ひとつひとつが個性的で色も濃く、眺めているだけでも十分に、体の底から元気が湧いてくるような、力強い生命力が感じられた。
素朴な木箱を使った陳列棚の前までいくと、瑞々しさを含んだ野菜の、ガツンとした香りが鼻に届いた。
そう言えば、野菜本来の香りは、これくらいインパクトがあるものだったな、とハッとした。
自然という名の荒波を乗り越えて晴れの舞台に立つ野菜たちの堂々とした姿は、
生産者の方々にとって誇らしいものなのだろうなと、ひとつひとつ丁寧に並べているを眺めながら思った。
すると、陳列棚を挟んで向かい側にいらした方が、「その生姜、美味しいですよ、私が作ったんですよ」と、私の斜め前を指さして仰った。
手に取ってみるとずっしりとした重みが感じられる立派な生姜だった。
ただ、我が家でいただくには少々大きすぎると思っていると、その思いを察してか、生産者の方に乾燥生姜づくりをすすめられ、生姜は体を温める食材だけれども、成分の取り方によって温め方も変わってくるという興味深いお話をしてくださった。
この時に伺ったお話を、後日、改めて調べてみると、このようなことだった。
採れたての生姜(新生姜/生の生姜)のみに豊富に含まれている辛味成分のひとつに、ジンゲロールという成分がある。
この成分は、血管を拡張させて血の巡りを良くして体を温める効果、殺菌、免疫細胞の活性化し免疫力のアップ、頭痛を抑える、抗酸化、胆汁の分泌促進などがあると言われている。
ただ、このジンゲロールの温め方は、体の芯から外側に熱を移動させるようにして体温めるのだそう。
全身を出来るだけ早く効率的に上げたい時に頼れる成分ということ。
このジンゲロールという成分は、熱を加えるとショウガオールという成分に変化するという。
そして、加熱されて出来たショウガオールは、血の巡りが悪く、常に冷えているような冷え性と呼ばれる体の血行を促進して体を芯から温めてくれるのだそう。
簡単に言えば、風邪のひきはじめなど、体を手っ取り早く温めながら免疫力を上げたい時には、できるだけ生の生姜をすり下ろして使い、
体質改善をしたい場合には、熱を加えてショウガオールに変化させてある生姜を使うと、より効率よく体内を整えることができるということのようだ。
女性は、できればショウガオールを積極的に摂取したいところ。
単純な私は、お料理で熱を加えればいいのか、と思ったのだけれども、ショウガオールを引き出すためには生姜を100℃近くの熱で加熱する必要があるという。
ここまで理解して初めて、道の駅で聴いた「オーブンで作る乾燥生姜」がおすすめだという話と繋がった。
【ショウガオールを引き出す、オーブンで作る乾燥生姜】
【1】生姜は皮をむかずに、しっかりと水洗いする。
【2】1mm程の厚さにスライスする。
【3】オーブンの天板にクッキングシートを敷き、生姜スライスを並べる。
【4】オーブンを100℃~130℃に設定し、余熱無しで1時間ほど加熱する。※オーブンによって多少前後します。
【5】1時間後、生姜が乾燥しているか確認し、水分が残っているようであれば3分ほどずつ加熱を繰り返して、完全に乾燥させる。
【6】生姜が完全に乾燥したら粗熱を取り、袋に入れて揉み砕いて乾燥生姜の粉末の完成。あとは、お好きなメニューに少しずつ混ぜ込んでショウガオールをご堪能あれ。
市販されている粉末タイプの生姜は、加熱せずに水分を飛ばしているものもあります。
体を芯から温めたくて生姜を積極的に摂取しているけれど、思うように温まらない気がしている方は、自家製乾燥やしっかりと加熱されている生姜を試されてみてはいかがでしょうか。
ちょっとしたことなのですが、相手のことを今よりも少しだけ詳しく知ってみると、食材との関係性もまた少し、深まるような気が致します。