まだ昼間は暑いけれど、優しい秋の匂いが心地よくて、思わずスーッと息を吸い込んだ。
すると、何処からともなく金木犀の香りがフワリ、鼻を擽った。
もう金木犀?今年もまた同じことを思った。
きっと来年の今頃も、移り行く季節の中で、同じようなことを思い噛みしめるのだろう。
そう思い噛みしめられる日々であって欲しいという小さな願いを、その香りに託してみたりして。
外出案件を片付けた後、
小さなショップを数件、はしごしながら自宅へ向かっていた。
この間、外を歩けば、車や自転車との間で道を譲り合い、
ショップ内では、レジに並ぶ順番を譲り合い、という出来事が3度ほど続いた。
このようなシチュエーションの時、
タイミングが合わなかっただけだと言ってしまえば、それまでのことなのだけれども、
相手と目線が合わないことも少なくない。
目線が合わなくても会釈だけで通じることも多く、
そのような素振りを視界の端で捉えあうだけで十分ということもあり、
知らない者同士、目線が合わなかったからと言って嫌な印象を抱くことはないのだと思う。
だからだろうか。
この日3度ほど続いた出来事の中で、しっかりと目線が合い、
お互いの表情を確かめあえた状況が妙に印象深く、私の記憶に刻まれていた。
関わったお三方が皆さん素敵な笑顔の女性で、
ほんの数秒間のことだったけれど、
自分と関わった人を和ませるには十分な時間なのだと感じた。
慌ただしく通り過ぎていく時間の中に身を置いていると、
無意識に、ほんの数秒を惜しんでしまうこともある。
惜しんだ時間が何を生み出したかどうかは人それぞれだけれども、
ひと呼吸ほどの時間で出来ることは自分が思う以上にたくさんあるのだと思う。
大切な人の目を見て微笑む、とか。
ギュッとハグする、とか。
レジでお会計を済ませたらニコッと微笑んでみる、とか。
「おつかれさま」と、しっかり目を見て伝えてみる、とか。
「ごめんなさい」と、言葉だけではなく、しっかりと目でも伝えてみる、とか。
ひと呼吸ほどの時間で、あなたは何をしますか。
今日も、ここへ足を運んでくださった方の1日が穏やかでありますように☆彡