ボトルに貼られたラベル中央に鎮座するは、ゴールドカラーで印字されたハブ酒の文字。
このボトルは、ある方のご厚意によって我が家へとやってきた。
ボトルの中にハブの姿がなかったことが良かったのだと思う。
手を付けないままではあったけれど、目に入るキッチンの隅に、そっと置いてあった。
他のアルコール類と同じ場所に仕舞い込まなかったのは、
目に見えない場所に仕舞い込んでしまったら、
このまま手付かずの状態のまま、ご厚意を無下にしてしまいそうだったから。
ハブ酒が体に良いことくらいは、何となく知っていた。
だけれども、自ら購入して飲もうと思えるようなキッカケが今までは無かったし、このままでは、これからも無いだろう。
そう思いながら、キッチンの隅をチラ見する日々が続いていた。
ハブという名と、あの姿を想像し、躊躇いを抱きつつも、
モノは試しだ。何ごとも経験だ。ちょっと飲んでみるか。と、初めての経験へと足を踏み入れたのが1か月ほど前だ。
毎日1回、ハブ酒を盃に注ぎ、その1杯をグビグビッと喉奥へ流し込むこと1か月弱。
そろそろボトルも底をつく頃なのだけれど、
ハブ酒、なかなかの実力を持つものだったことを今更ならが知ることとなった。
ハブは獲物を捕らえることができない環境下でもあっても、
水さえあれば100日以上は軽く生きていられるくらいの生命力を持っているのだそう。
このハブを生きたままアルコール度数の高いお酒に浸けて作るハブ酒は、
古から、薬膳酒として親しまれてきた。
ハブと言えば死に至るほどの「毒」を持っていることを思い起こさせるけれど、
ハブの毒は、噛まれるなどして体に入り、血液と混ざらない限り、
その毒性が発揮されることはないのだそう。
そして、ハブをアルコールに漬けると、ハブの毒は無毒化するため、
このようなハブ酒というものが存在しているようだ。
また、ハブはクセやにおいが強いため、
使われるアルコールは度数の高い焼酎か泡盛に漬けるのだけれども、
更に飲みやすくする目的や相乗効果を狙って、
薬草類のハーブや糖類も一緒に漬け込まれているものが多いという。
私が飲んだハブ酒は鹿児島県の奄美市で作られたものだったけれど、
アルコールの香りと共に黒糖のコクのある甘い香りがふわり鼻をくすぐるものだった。
ハブ酒は、アルコール度数が高いため、他の飲み物に混ぜたり、割ったりする楽しみ方が紹介されるけれど、
飲み物でお腹がチャプチャプになるのを防ぎたかった私は、ストレートでグビっとやっていた。
喉がカーッと熱くなるため直ぐに白湯を口に含んでいたのだけれど、
これじゃ、お湯割りじゃないか、と自分に突っ込んだりもしたりして。
それなりに健康に繋がるお酒として認知度の高いハブ酒だけれども、
医学的な効果は照明されていないそう。
そうは言っても、漢方薬に使われてきた歴史が、
様々な嬉しい効果が期待できる薬膳酒としてハブ酒の認知度を支えているのだろう。
なんでも、ハブには12種類もの必須アミノ酸に加えて魅力的な栄養素も含まれているため、
滋養強壮、疲労回復、血行促進、新陳代謝の促進、肝機能の働きの促進などの効果や、
冷え性、腰痛、肩こり、動脈硬化などの予防や改善を期待できると言われてる。
極々少量のハブ酒を水で薄めたものでうがいをすれば風邪の予防にもなるというのだから、
なかなか心強い薬膳酒である。
どうして、ここまでオールマイティーなのか気になり、
ハブに豊富に含まれている必須アミノ酸を調べてみると、
栄養ドリンクなどで目にする成分のオンパレードだった。
そして、実際に飲んでみて感じたことなのだけれども、
気付けば体が疲れにくくなっており、体が冷えにくくなっていたからなのか、普段よりも寝つきも良くなっていたし、肌艶も心なしかアップしているように感じられた。(※全て柊希比です……。)
んー、悪くない。
ハブ酒は体にいいらしい、という私の知識の中には勝手な思い込みも含まれていたけれど、
実際に経験してみたことで「使える知識」にできたような気がしている。
経験は知恵の種になる。
今回私のもとに舞い込んだハブ酒体験は、そのようなことを私に感じさせたようだ。
何か新しいチャレンジのキッカケが目の前に差し出されたなら、
とりあえず、手を伸ばしてみるのも良いのではないでしょうか。