幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

夏の香りとクレープシュゼット。

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気分が落ち込みそうになったときに飲もうと思っていた、スペシャルなオレンジジュースを冷やすべく、冷蔵庫内にボトル一本分のスペースを設けた。

気分が落ち込むような出来事があったわけではないのだけれど、外から室内に吹き込んできた風が夏の匂いをしていたものだから、ビタミンカラーの飲み物を欲しただろうと思う。

冷えすぎない程度にまで冷たくしたオレンジジュースを、冷やしておいたグラスに注いでガーデンテーブルへ移動した。

日光浴をしながら、体の内側と目にビタミンチャージである。

ひと口、またひと口とオレンジジュースを口に運んでいると、その弾けるような香りは私にクレープシュゼットを連想させた。

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クレープシュゼットとは、小麦粉で作ったクレープ生地をオレンジ果汁とバターを合わせたソースで煮て、そこに、アルコール度数が高いオレンジリキュールかグランマニエ、コニャックを注ぎ入れて火をおこし、一気にアルコールを飛ばして完成させる、デザートである。

小さなフライパンの中に注ぎ入れるアルコールは、そのまま注ぎ入れたり、螺旋状に向いたオレンジの皮に伝わせるようにして注ぎ入れたりと、料理人によってそのパフォーマンスは異なるけれど、どちらにしても青い炎がオレンジ色のソースに映え、目にも美味しいデザートだ。

私は、クレープシュゼットを習ったことがあり、ひと通りの作り方は記憶に残ってはいるのだけれど、自宅で作った経験は一度きりである。

かといって目の前で調理していただく機会もそう多くはなく、最後に調理していただいた日の記憶も既に曖昧なものになってしまっている。

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クレープシュゼットの起源はひとつではないようなのだけれど、一番多く見聞きするのは、19世紀に、後にイギリス国王となる皇太子殿下がカフェで、とある女性とともに味わったデザートだと言う説ではないだろうか。

もちろん料理人は、完成したものをお出しするのではなく、皇太子殿下たちの目の前で青い炎のパフォーマンスを披露したのだそう。

それを見た皇太子殿下は、パフォーマンスと味にとても感動されて、デザートの名を料理人に尋ね、料理人は「クレープです」と答えたようなのだけれど、皇太子殿下は、それならば「シュゼット」と付け加えてはどうかと提案されたという。

「シュゼット」とは、そのときに皇太子殿下とデザートを楽しまれたお連れの女性の名前なのだとか。

このような出来事から生まれたクレープシュゼットは、プロ級のものにこだわらなければ自宅でも作ることができるデザートだけれども、やはりクレープシュゼットだけは、自分以外の誰かに作っていただくことも含めて味わう贅沢なデザートであるように思う。

クレープシュゼットを召し上がる機会がありました折には、クレープシュゼットの名付けエピソードなどを思い出しつつ、料理人の見事な手さばきをご堪能あれ。

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