旬ならではの華やかさをまとったフルーツを見ると、ついテンションがあがってしまう。
形状さえ拘らなければ、いつだって口にできるフルーツが多いけれど、
あの果実ならではの華やかさは、果実自身が自分の熟れ時や食べ頃の、
見せ方、知らせ方を知っているように思う。
先日はブルームに覆われたスモモとブドウを目にし、思わず手が伸びた。
以前、ブドウ狩りでお世話になった果樹園の方が、このようなことをおっしゃっていた。
ブルームは新鮮さと美味しさの印でもあるのだけれど、農薬の跡だと思って拭き取ってしまう人が後を絶たないのだと。
ブドウに限らず、お野菜でも似たような反応が無くならないため、
お野菜の中にはブルームが出ないよう品種改良されているものも増えているのだそう。
本来あるべき姿ではない姿を良しとされて手を加えられたフルーツやお野菜のことを思うと、少々気の毒である。
ブルームと聞くと、それなあに?と思われる方もいらっしゃるかと思うのだけれども、
フルーツやお野菜の表面を覆っている白い粉のような、膜のようなもののことだと言えば、「あぁ、あれね」とイメージしていただけるだろうか。
あの、拭いても洗っても完全には落ち切らない、白いものをブルームと言うのだけれど、
なかなか落とせない原因は、ブルームは、フルーツやお野菜に含まれている脂質から作られているからだ。
表面を油膜で覆うことによって、フルーツやお野菜を病気や雨などから守りながら、水分量や鮮度を保つのだそう。
そして、果樹園の方の話によると、新鮮で完熟したフルーツほどブルームにしっかりと覆われている特徴から、
ブルームは美味しさの証でもあるという。
また、そのフルーツがどのように扱われてきたのかを知る際にもブルームが役に立つという。
収穫後、人の手に触れられる回数が最小限に抑えられ、
フルーツ同士がぶつかり合うことなく丁寧に扱われたものはブルームが表面に多く残るのだそう。
ブドウに限っては、ブルームがしっかりと残っているものほど市場価値が高く、高級品と見なされているのだとか。
そして、このブルームを農薬の跡だと思っている方は、
出来るだけ皮の表面が口に触れないよう、
手で皮を剥いて身を口に運ぶことがあるようなのだけれど、
ブドウのブルームには、私たちの体を錆びさせないために働いてくれる成分が多く含まれているというのだ。
体を錆びさせないだけでなくアンチエイジング効果も期待できるため、
ブドウのブルームは、本来、ブドウからのサプライズギフトのようなものなのだ。
消費者の間違ったイメージから避けられがちなブルームだけれども、
消費者が求める状態に育て上げるために農薬が使われている現状もあるため、
ブルームもしっかり味わってと言いきれないもどかしさも無いわけではない。
無農薬栽培されているブドウを召し上がる機会がありましたら、
ブルームを洗い落しすぎないようにして、
ブドウの美味しさと嬉しい効果を丸ごと召し上がってみてはいかがでしょうか。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/