今年の夏は、いつになく冷たいものに手が伸びる。
しかも、気分はシャーベット。
冷えたそばから熱を帯びていく体の変化に、生きているのだと感じたりもして。
熱帯夜の窪みに落ちたような、暑さが少しだけ和らいだその夜は、冷凍庫からハーゲンダッツを取り出した。
録画しておいた、お気に入りのプログラムを再生し、
アイスクリームの蓋を開けると、キスマークのような形をしたキスハートと名付けられているハーゲンハートが表れた。
※ハーゲンハートの詳細は、こちらから💛
そのような見方をしなければ、単なる溝でしかないのだけれど、
こういう穏やかな楽しみは、大人の心を少しだけ柔らかくするように思う。
私たちにとってハートマークは、幸せや愛情を印すモチーフとして、
他にはトランプのマークとして親しまれているけれど、
その存在はとても古く、古代エジプト時代から使われているものだと言われている。
そして、どちらかと言えば、西洋のモチーフのような印象があるけれど
日本の神社仏閣でも目にすることができる日本の伝統模様のひとつなのだ。
私の記憶に残っているのは、京都にある正寿院(しょうじゅいん)というお寺にある猪目窓(いのめまど)。
可愛らしいハート型の窓を通して見る素敵な景色は、とても表情豊かで見た人の記憶にしっかりと残るように思う。
このハート、西洋では心臓を象徴するものとして扱われているけれど、
日本では全く異なるものの象徴であり、意味を持っていたりする。
正寿院(しょうじゅいん)の猪目窓(いのめまど)という名にもあるように、
古の日本では、ハートのことを猪目(いのめ)と呼んでいたそうだ。
猪の目の形を模したと言われたり、菩提樹の葉を模したものだと言われたり、
他にも様々な説があるのだけれど、正解とされているものはないという。
ただ、獣の目には災厄や邪から守る、魔除けの力があると言われていたことから、
猪の目を模したという説が有力ではないだろうかと読む方が多いのが現状だ。
今の私たちにとってハートのモチーフは、どこか甘い雰囲気をまとっていたり、
温かい愛情を表すものだけれど、同時に魔除けやお守りの力も宿っている奥深いマークである。
そして、あるはずが無いと思っていると在ったとしても見つけることは難しく、
あると思っていると、意外と目に入ってくる不思議なマークなのだ。
私たちの日常も、既に在ると思えば在り、無いと思えば無い。のかもしれない。
そのようなことを思いつつ、ハーゲンハートを味わう夜。
ハートを目にする機会がありましたら、ちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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