ある野外イベントをのぞこうと思い、都合が付けられそうな最終日のチケットを、一か月前に購入し、心待ちにしていた。
先日、張り切ってそのイベントへと足を運び、入場口でスマートフォン内のアプリに保存してあったチケットを提示した。
しかしそこには、訳が分からない画面が表示され、私も係員も一瞬、何が起こっているのか分からず顔を見合わせた。
その様子に気が付いた別の係員が、「ちょっと、すみません」と言って私のスマートフォンを覗き込み、
「今日のチケットページをお願いします、こちらは昨日、いらっしゃった時のチケットですね。」と言った。
ん?昨日は来ていないぞと思った瞬間、私の嫌な予感が的中した。
最終日に行くと決めていたというのに、一か月前に購入したチケットは最終日前日のものだったのだ。
あぁ……やってしまった。
私は当日券を購入し直し、イベント会場へと進んだ。
完全に私のミスなのだけれども、カレンダー通りではないリズムで日々を送っていると、このようなことが、私には割とよく起こる。
そのような言い分けを呪文のように唱え、がっかりしてしまいそうな自分を盛り上げながら各ブースを見て回った。
皆様も、秋のお出かけの際にはチケットの日付の確認をお忘れなく。
本日も、そのような“うっかり”を時々起こしている柊希がお届けいたします。
イベントが野外だったこともあり、何度か蜻蛉の姿を目にした。
蜻蛉は冬以外の季節に目にすることができるけれど、
やはり、暑さが和らぎ、空がグンと高くなる秋の頃の景色が似合う虫、という印象がある。
正直、それほど虫が得意ではないため、蜻蛉を見かけてテンションが上がるというようなことはないのだけれど、
それでも、遠目にスイスイと空を泳ぐようにして飛ぶ彼らを見かけると、秋らしさを感じたりするのだ。
特段意識しているわけではないけれど、このような、日本人特有の感性のようなものが、
自分の中にあることに気付いたのは、やはり海外暮らしをしていた時だったように思う。
当時、少し涼しくなってきた頃だったと記憶しているのだけれど、
知人と一緒に、知人宅の犬の散歩に出かけたことがあった。
その散歩中に蜻蛉を見つけた私は、「何だかほっとする、秋を感じさせる光景だ」と口にした。
すると、知人は「蜻蛉なんて気味が悪い」と頭をぶんぶんと左右に振りながら私に言った。
話を聞けば、ヨーロッパで蜻蛉は、不気味な虫であり、人を刺すことがあるという認識があるという。
特に、ご年配の方の中には、小さな子どもがウソを言うと、
蜻蛉が、ウソを言えなくなるように口を縫に付けにやってくるという、迷信を口にする方もいらっしゃるのだそう。
私には、蜻蛉が口を縫いつける姿など全く想像できなかったため、今でも印象に残っている話題のひとつだ。
一方、日本では勝虫と言われ、かつての武将たちも、身に着けるものの装飾に蜻蛉モチーフを取り入れ、
縁起を担いだという話も多く残されており、勝利を運んでくる虫として大切にされていた。
また、日本のことを大和(やまと)という言葉で表現することがあるけれど、
この「大和(やまと)」とセットで使われる枕言葉に「秋津島“あきつしま”」という言葉があり、
この「あきつ」は蜻蛉の異名でもあることから、
日本人にとっては、やはり身近な虫だったのだろうと思う。
秋を感じさせてくれる蜻蛉を目にする機会も増えつつあるこの頃です。
目にされた際には、今回のお話をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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