幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

どのジンジャーブレッドマンがお好きかしら?

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先日、ひと息つこうかとソファに座りかけつつテレビを点けた。

すると画面には、年代物のようなCMが映し出された。

古き良き時代の、厳かでありながらも華やかさを纏ったお正月を思わせるような、蒲鉾のCMだ。

この時季のために作られたCMを長年大切に使っているのだと思う。

当時の技術で作られた映像を現代のテレビを通して目にすると、映像の粗さは否めないけれど、

なかなか味わい深いCMであるのと同時に、子どもの頃の年末年始への郷愁を覚えるものだった。

ただただ嬉しいだけの、待ち侘びるだけの年末年始からは随分と遠退いていると思いかけてハッとした。

いやいやいや、まだクリスマス前である。

今年を締めくくり来年へ向けての想いを巡らせるのは、もう少しだけ後にしたい。

大人の事情が至る所で交差するこの時季に大切なのは、自分の心の舵取りは自分で行うことなのかもしれない。

そのようなことを思いながら、少しだけクリスマス仕様に手を加えたリビングを見渡し、マスカットとベリーが香る紅茶を口に運んだ。

そう言えば、キッチンにはジンジャーブレッドマンがあったはず。

過ぎ去った年末年始への郷愁を掻き消すべく、ジンジャーブレッドマンを取りにキッチンへ向かった。

今回は、この時季ならではのジンジャーブレッドマンのお話を少し、と思っております。

ご興味ありましたら、お好きなお飲み物を召し上がりつつ、お付き合い下さいませ。

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ジンジャーブレッドマンと聞くとピンとこない方もいらっしゃるかもしれないのですが、

クリスマスオーナメントやお菓子で目にする、可愛らしい人型のクッキーだと言えばイメージが湧くのではないでしょうか。

あのクッキーにはジンジャーブレッドマンという名前があります。

ジンジャーブレッドマンは、生姜やスパイスを加えた焼き菓子で日持ちするものだった歴史があるため、クッキーそのものをクリスマスツリーの飾りに使われていたこともあります。

どのような経緯でクリスマスにジンジャーブレッドマンが欠かせないものになったのか。

それについては様々な説があるようなのですが、私が見聞きしたものの中で一番多かったものは、昔、ペストが流行した時に生姜(ジンジャー)の成分がペストを予防する効果があると世の中に伝えたヘンリー8世を模ったお菓子だというもの。

いくら何でも、ざっくりし過ぎたフォルムではないだろうかという突っ込みたくなりますが、

様々な効果効能をもった生姜(ジンジャー)を口にすることで、日本で言うところの厄除けや無病息災を願っていた表れのようです。

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このような意味合いをもったジンジャーブレッドマンですが、童話の主人公だということをご存知でしょうか。

私の記憶が薄れつつあるため、詳細は割愛しますが、物語のあらすじは、このようなものです。

むかしむかし、あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでおりまして、

ある日、お婆さんがキッチンでジンジャーブレッドマンを焼いたのだそう。

お爺さんとお婆さんは、焼きあがったそれをオーブンから取り出したそうなのですが、

その、美味しそうなジンジャーブレッドマンは、「私を食べないでよー!」と叫びながら、窓から逃げ出してしまうのです。

お爺さんとお婆さんは、逃げるジンジャーブレッドマンを追いかけるのですが、なかなか追いつきません。

追いかける途中で、豚や牛なども加わり、皆でジンジャーブレッドマンを追いかけるのですが、その距離は縮まらぬまま、ジンジャーブレッドマンは逃げていきます。

しかし、逃げる彼の目の前に川が現れたため、「どうやって逃げればいいのさ」と大声を上げると、

キツネが現れ、「私の背中に乗りな、向こう岸まで泳いで渡ってあげるから」と言うのです。

キツネの背中に乗り、順調に向こう岸へと向かっていたジンジャーブレッドマンでしたが、

もう少しで向こう岸に到着するという距離で、キツネによって空へと放り上げられ、落ちてきたところを食べられてしまうという、物語です。

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物語の主人公でもあるジンジャーブレッドマンですが、アメリカのものとヨーロッパのものは少し違いがあります。

アメリカで好まれているものは、日本にあるカントリーマームのような雰囲気の、

表面が凸凹になっていて厚みがあり、中にはキャラメルやチョコレートソースのようなものが入っていると言います。

一方のヨーロッパで好まれているものは、生姜(ジンジャー)やスパイスが、しっかりと感じられる薄めのクッキーで、紅茶がすすむようなお味であることが多いように感じます。

日本で見かけるジンジャーブレッドマンは、この両方の良いとこ取りをしたようなクッキータイプが多いかもしれませんね。

どのタイプも美味しいけれど、私はついつい日本の良いとこ取りをしたものに手が伸びます。

この時季ならではの、ジンジャーブレッドマンですので、食べ比べを楽しんでみるのも一興かと。

そして、召し上がる機会がありましたら、今回のお話の中から何かしらをチラリと思い出していただけましたら幸いです。

画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/