お店のレジでお会計をしていると、奥の作業台に飾られていた蘭の一種、シンビジウムに目が留まった。
柔らかいトーンをしたピンクと白が混ざり合うような花びらのそれは、いちごミルクを連想させるような可愛らしさがお店の雰囲気に、とても合っていた。
可愛らしい色合いをしているのだけれど、迫力ある大きな花は豪華さも兼ね備えており、
その辺りはやはり、蘭が持っている性質なのだろうなと思いながら、受け取った釣銭をお財布に入れた。
私の視線が、作業台に飾られていたシンビジウムに向いていたことを察知していたのか、店員が今が見頃のシンビジウムで、「あんみつ姫」という名がついているのだと教えて下さった。
あんみつ姫?と繰り返したのは私が初めてではなかったのだろう。
店員は、答え慣れているかのような口ぶりで、私も初めて知ったんですけれどと前置きをし、鉢に挿してあったネームプレートのようなものを引き抜いて見せて下さった。
確かに書いてあった「あんみつ姫」という名。
お店を出てから、いちごミルクのようだと感じたあの印象は、当たらずとも遠からずといったところだったと思った。
日本では、節目でもあるお祝いごとに、胡蝶蘭の花を贈ることが多い。
お祝いに贈る花のひとつと言えば胡蝶蘭、胡蝶蘭を贈っておけば間違いないという、暗黙の決まり事のようなものがある。
そこには、そうなるだけの歴史があったり、幸せが飛んでくるという素敵なメッセージが含まれているからでもあるのだけれど、
お祝いしたい気持ちは胡蝶蘭くらいあり蘭を贈りたいのだけれど、胡蝶蘭を贈ったのでは大げさすぎて、相手に気を遣わせてしまうということもある。
そのような時に、おすすめできる蘭がシンビジウムである。
花のサイズは、小ぶりなものから大ぶりのものまで揃っているし、優しい花言葉が多く、花持ちも良い。
そして、誕生石と同じように、誕生月花というものがあり、これは国によって選ばれている花が異なり、また数種類の花が選ばれているのだけれど、
シンビジウムは、椿や水仙などと一緒に、1月の誕生花として扱われることがある花でもあるのだ。
私は今回はじめて、シンビジウムに「あんみつ姫」という品種があることを知ったのだけれども、
他にも、シルバンスプリング・セリーヌという名や、セーラームーン、キューティーハニーという名の品種もあるそうで、
蘭に品種名のプチエピソードを添えて贈ってみたいという気持ちが、湧いたような気がした。
1月にお誕生日を迎える方にお花を贈る際や、歓送迎会でお花を贈る際などに、
これまでとは少し異なるポイントで、お相手に似合うシンビジウムを選んでみるのはいかがでしょう。
とは言うものの、お花を贈る機会は、そう多くはないかもしれません。
そのような時には、知っている花の名を今一度、のぞいてみるというのも一興です。
十人十色なのは人だけに非ず。
私たちが知っていたはずのそれとは似て非なる、時代を反映した、今どきの名を持った花と出会えるかもしれません。
贈る、贈らない以外にも、花の楽しみ方は色々でございます。
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