幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

“青丹よし”から始まるカラートラベルツアー。  

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出先で素敵な色をした蜻蛉玉(とんぼだま)を見つけた。

蜻蛉玉(とんぼだま)とは、中央を突き抜ける穴が開いたガラス玉で、様々なアクセサリーのパーツとして使われたり、インテリア雑貨やお香立てなど幅広い用途で使われるものである。

このガラス玉には様々な模様が施されているのだけれど、このきれいな模様が蜻蛉(トンボ)の目のように見えたことから蜻蛉玉(とんぼだま)と呼ばれるようになったのだとか。

蜻蛉玉(とんぼだま)という名が日本で生まれたのは江戸時代に入ってからだと言われているのだけれど、蜻蛉玉(とんぼだま)自体の歴史はとても古く、世界中に異なる名で存在していたという。

今も様々な蜻蛉玉(とんぼだま)が世界中で作られているけれど、蜻蛉玉(とんぼだま)のアンティークに魅了されたコレクターもいると聞くから、

蜻蛉玉(とんぼだま)にも奥深い世界があるのだろうと思う。

私はと言えば、お気に入りの蜻蛉玉を4つほど持っているのだけれど、2つは帯留めに仕立て、残りの2個はお香立てとして使っている。

しかし、蜻蛉玉(とんぼだま)のディープな世界に足を踏み入れる機会は無いままで、こうして時々、素敵な蜻蛉玉(とんぼだま)を目にしては、しばし鑑賞させていただくに留まっている。

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この日目にしたそれは、とても渋い黄緑色に、爽やかな黄色い模様が映える素敵な一粒だった。

その渋い黄緑色を今どきの表現を使って言うならば、少しくすんだニュアンスグリーンといったところだ。

そのようなことを思いながら手のひらの上で転がして眺めていると、プライスカードに「青丹色(あおにいろ)」と記されていた。

青丹色と言えば、万葉集の中に「青丹よし」から始まる歌がある。

『青丹よし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり』という歌で、意訳すると、奈良の都は、色鮮やかに咲く満開の花の香りが華やぐように、今が盛りです。と言っている。

多分、この歌を見聞きしたことがなくても「あおによし」という言葉はどこかでチラリと見聞きしたことがあるという方もいらっしゃるかと。

「青丹よし(あおによし)」の後には必ず「奈良」が続く決まりになっているため、「青丹」は、奈良を想像させる言葉であり、色でもある。

青丹よしがどうして奈良?どうして黄緑色を青?という点だけれども、この渋い黄緑色をした青丹色の顔料を作るための青土が採れるのは奈良だと言われている。

そして、日本では緑色をしたもののことを「青」と呼ぶことがあり、土は「丹」と記されていたことから緑がかった色をした土からできる色を「青丹色」と呼んでいたのだそうだ。

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ニュアンスカラーのお洋服を多々目にする昨今ですが、

私たちが新しいと感じている色が、実は先人たちが既に楽しんでいた色だったということもありますし、色が持つ和名から古の景色を垣間見ることもできるかと。

お好きな色がありましたら和名から、色の世界を旅してみるのも一興かと。

とは言いましても、なかなか時間が……という方もいらっしゃいますので、

お時間がありました際には、こうして時々、柊希のカラートラベルツアーにお付き合いいただけましたら幸いです。

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