その日は、目的地を目指して自然豊かな田舎道を車で走っていた。
車窓から見える景色は、瑞々しさ溢れる緑色に覆われていた。
緑色は安心感や調和をもたらしてくれると言われている色なのだけれど、中間色ということもあり、そばにある色によって人に与える印象が変わる色でもある。
また、緑色は黄色と青色を混ぜて作ることができることもあり、色のトーンによっては黄色や青色が持つ印象に似た印象を感じることもある色だ。
心理面に与える効果として挙げられるのは、人をリラックスさせながら心身の緊張感を緩和し、心と体、疲れた目を癒しつつ、気持ちを穏やかに整えてくれるといった効果である。
ここ最近では、老若男女問わず多くの方が利用する病院などの内装に使う色に選ばれる機会が増えていると聞く色でもある。
そのような癒し効果抜群の瑞々しさ溢れる緑色と、春ならではの柔らかい青空の青を車窓から眺めていたのだけれど、
その延々と続いている緑色の正体が麦だということに気付き、思わず体をぐいっと窓へ押し付けてしまった。
私はこれまで、麦畑というものを実際の目で見たことがなかったため、初麦畑に夢中になった。
興奮が落ち着いた頃、もしかしたら、目の前のそれが麦だと気付かずにいただけで、本当は幾度も麦畑を目にしたことがあったのではないだろうかという思いも脳裏を過ったのだけれど、せっかくの意識あっての“初めて”である。
この日を、麦畑デビューデーにすることにした。
収穫が近づいている麦は、実がみっしりと詰まっていることが車内から見ても分かるほどで、それらが風に乗って踊るように揺れる姿は、ただただ心地よかった。
目の前で揺れる麦の穂全てが黄金色に染まる収穫直前の景色を目にしたら、きっと、ジブリ作品内に登場する名言“その者蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし。”を想像してしまいそうだと思いながら、麦畑を通り過ぎた。
麦秋(ばくしゅう/むぎあき)の頃の麦畑をこの目で見てみたいという私の願いは、もう少しお預けのようだけれど、半分くらいは叶ったぞ、と思える景色であった。
それにしても、自然の色は人に優しい。
心なしか、目の奥が軽くなったように思う。
お疲れ気味だという方、周りにある植物の緑色を眺めてみてはいかがでしょうか。
今日も心穏やかな1日となりますように☆彡
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