キノコ類が好きで、よくまとめ買いをする。
下処理を済ませて混ぜ合わせたミックスキノコを冷凍しておくこともあるけれど、
2日ほどで食べきることができる量であれば、サラダやバゲッドのトッピング材料として予め、少量のフレーバーオイルで軽く炒めておくことも。
その日も炒め置きしておこうと思い下処理をしていたのだけれど、冷蔵庫内に、砂肝とアボカドが滞在中だったことを思い出し、それらでアヒージョを作ることにした。
キノコ処理の最後は、エノキタケ(以下、エノキ)である。
エノキは美味しいだけでなく、食物繊維が豊富で整腸作用や美肌効果があると言われている以外にも、ストレスを緩和させたり疲労を回復させたりといった働きっぷりも魅力。
しかし、私にはひとつだけ苦手な点がある。
それは、エノキを開封するときに時折感じる、濃縮したアルコールのような、個性的な香りである。
この香りは、感じられることもあれば、感じられないこともあることから、エノキを選ぶときや開封するときというのは、ロシアンルーレットに参加しているような気分になるのだ。
いつだったか忘れてしまったけれど、そのような話を、立ち寄った道の駅でエノキを並べていた方にしたところ、それはエノキが死んだふりをしているサインだと教えてくださった。
今回は、「エノキの死んだふり」をお話コードに進めてまいりたいと思っております。
ご興味ありましたら、ゆるりとお付き合い下さいませ。
時折、エノキを開封したときにアルコールのような、いちごジャムを濃くしたような香りがすることがありますが、
この個性的な香りの主成分はエタノールで、そこにエノキの香りが混ざったものなのだそう。
エノキ栽培をしていらっしゃる方は、この香りをアンモニア臭とおっしゃっていたのですが、この香りがしたらエノキが死んだふりをしているサインなのだそう。
エノキは、収穫後も生きており成長し続けているため呼吸をしています。
私たちの食卓へ届くまでには袋詰めされた状態で届きますので、この間は、袋の中にある限られた酸素を吸って生き抜かなくてはいけません。
しかし、袋の中の酸素は数時間ほどで吸い尽くしてしまうため、エノキは酸欠状態で意識薄れゆくの中、思うのです。
大変!このままではワタシ、死んでしまうわ!!何とか生き延びなくては!!!と。
そこで繰り出す技が、死んだふり(=仮死状態)。
エノキが死んだふりをすると、その間はエノキの体内に個性的な、あの香りを溜めこむため、
袋を開封したときにエノキの体内から漏れ出した香りが、私たちの鼻を刺激するというのです。
そして、個性的な香りを放っているエノキを食べても大丈夫なのか?という点ですが、
エノキが出す、この個性的な香りは食味や安全性など何ら問題ないのだそう。
だけれども中には私と同じように、この香りが苦手だと言う方も割と多くいるそうで、そのような場合には、
濡らしたキッチンペーパーを石づき辺りに巻いて数時間放置しておくと、死んだふり(仮死状態)をしていたエノキを目覚め、
体内に溜め込んでいた香りを全て体外へと出すため、個性的な香りは自然と消えるのだそう。
開封後に何もしなくても自然とエノキの個性的な香りは消えてしまうこともあり、私は教えていただいたエノキ蘇生措置を実践したことは無いのだけれど、
あの小さな袋の中で行われていた“エノキの死んだふり”を知ってからというもの、エノキに対して妙な愛着が湧いているような気がしている。
エノキの生き抜く知恵、天晴である。
エノキを調理したり、召し上がる機会がありました際には、今回のお話をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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